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お返事と妄想自堕落日記
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とび森持ってこいや…という、サンタさんへのメッセージ。

信じてる…サンタさんいるって信じてるから頼むぜ…(自分で買え)
欲しいんだけど、迷ってる、てか金ねーやwって状態です。働くわ…。


さて、そんな世知辛い話は置いておいて、先日の志波主の裏側の氷上主です。





「…そーいうわけだから、氷上くんからもよくよく!言っておいてよね!」
「…あぁ、わかった」

眉間に深い皺を作りながら一通り演劇部部長の苦情を聞いた後、僕はそれだけを何とか頷いた。彼女の演劇への熱意は尊敬に値するが、あの勢いには気圧されるばかりだ。

最後のHRも終わった後、まっすぐに生徒会室には向かわず、僕は屋上へと向かった。…今日は天気が良い。こんな日は大抵あの子は屋上か、もしくは中庭か、そんな所にいるのだ。そこに「何時から」いるのかは考えないようにしているけれど。
ぎぃ、と音のなる重たい扉を開けて屋上に出る。それ程苦労することもなく僕は彼女を見つけた。そして、見つけた途端彼女は僕の方に振り返る。にっこりと破顔して手を振るのは、いつも彼女の方が先だった。

「氷上くーん!ねぇ、見て見て!これね、とっても綺麗でしょ?さっき中庭で見つけたんだー」

走り寄って広げられた彼女の手の平には、美しく色づいたイチョウの葉があった。中庭の辺りにある木が、黄色くなっていたのをそういえば見た気がする。

「本当だ。…ふむ、最近の朝晩の冷え込みのせいかな。温度差があると、綺麗に紅葉するのだと聞いた事があるよ」
「へぇー、じゃあはばたき山も綺麗だろうなー!ねぇ、こんど見に行こうよ!」
「あぁ、それはいいな。…あ、いや…まぁそれはそれでいいんだが…」

うっかり彼女のペースに乗せられてしまうところだった。小さく咳払いをしてから、僕はわざとらしくしかめ面を作って見せた。

「…学園演劇の主役を急に降りたそうだね。さっき演劇部の部長から聞いたよ」
「…ぎくり」

それまで嬉々として僕を見ていた大きな瞳は、くるりと別の方向を見る。何か困った事があると、彼女はそうして目を逸らす事が多かった。まるで子供みたいに。

「辛うじて代役が見つけたからまだ良かったけれど、全くもって非常識甚だしい行動で、非常に遺憾であると僕のところに直々に訴えに来たよ。…僕も、彼女とほぼ同意見だ」
「だーって!劇に出てって言うから、相手はてっきり氷上くんだと思ったのに違ったんだもん!そりゃあ断るよ!」

ぷぅっとほっぺた膨らませて反論する彼女を見て、僕は容易に想像がついた。彼女はきっとあっさりと役を引き受け、そしてまた降りた時もあっさりと辞めたに違いない。周りの迷惑など考えもしない、無垢で自己中心的な強引さで。
風が少し強く吹いて、つめたい空気が頬にあたる。彼女の髪も制服のスカートもばさばさと風に吹かれた。

「…ところで、氷上くんはそのことを怒りにきたの?」
「あぁ、そうだ。だって、頼まれていたことを簡単に辞めるだなんて、やっぱり無責任な話だと僕は思うよ。第一、君はそれについてきちんと謝罪もしていないらしいじゃないか。そもそも、この件について僕が苦情を言われるのはおかしな話だし」

言いながら、だけど実のところ心の内は穏やかだった。…いっそ、辞めてくれた方がずっと心安らかでいられる。
学園演劇の相手役は志波くんだった。そうして相手役が彼女に決まった時の方がずっと今より焦っていたし、ある種の怒りも感じていた。…彼女は普段僕の事を追いかけ回す割に、他の男子とも妙に気安いのだ。志波くんとも例外ではない。
そんなこと、少し前の僕なら何とも思わなかった。大体、彼女と関わる事自体、迷惑だと思っていた。…それなのに。

「でもさ、さよちゃんがやる方が良かったんだよ、だからこれでいいと思うの」
「そういう問題じゃない」
「うあーん!やだやだ!学園演劇に出るなら、氷上くんとラブラブ演劇でないとイヤだもん!かつみんとなんて無理だもん!」

ふぃっと体を逸らし、風の拭く方へ向く彼女は、何の飾り気もなく、綺麗だった。…これは、贔屓目なのかもしれないけど。
彼女は、ただ彼女でしかなく、それ以上でもそれ以下でもない。だから、綺麗なのかもしれない。だから、惹かれるのかもしれない。夜空にある星や、さっき見せてくれたいちょうの葉っぱみたいに。

でも、星には手が届かないけれど、彼女には手が届く。…それには、星に手を伸ばすよりも勇気がいるけれど。

「…あのね、本当はね、ちゃんとやらなきゃって思ったんだよ?途中でやめちゃうなんてダメだってわかってた」

ごにょごにょと言いにくそうにする彼女の口は突き出されてふっくりしていた。

「…でも、やっぱり、どう考えてもダメだったの。私が全っ然やる気じゃないからか、かつみんも全然やる気ないし。だから、こりゃダメだなーって!…でも、やっぱりメーワク掛けたから…ごめんなさい」

ぺこりと小さく頭を下げる彼女に、僕は小さく息をついた。それは呆れた溜息でもあったし安堵の溜息でもある。でも、それは彼女には秘密だ、今はまだ。
こんな僕が、彼女に怒るのはフェアじゃない。それでも、僕は手を握り込んで、こつりと、それを彼女の額に当てた。

「やってしまった事は仕方がないよ。これから気を付けるように」
「…うん」

僕が小突いた部分に手を当てて、彼女はえへへと笑う。それにつられて、僕も少しだけ笑った。

(いつか、ちゃんと言うよ)

僕も、自分の気持ちをそのまま、いつか君にきちんと伝える。だから、それまで待っていて。
そして願わくば、僕の以外の人の事を…全く、は無理だろうから、あまり、見ないでいてくれたらいい。




とりあえず、はばたき山の紅葉は何時見に行こうか。


 


うちの氷上主はらぶらぶだな!ヽ(・∀・ )ノ いつからだ!www

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