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お返事と妄想自堕落日記
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男でも女でも、何でもいいけど何か一つのことを成し遂げようと努力している人は美しい。
そういう人に憧れます。フィギュア見てて改めてそんな事を思った夜。

まぁそれとは全然関係ないんですが、ちょっと書きたくなったので来ました。と言ってもオリジナル。
久々にどろどろしたものを書きたくなった(笑)どろどろというか、切ない系というか、そんな感じの。

そんな子達いたっけなと思ったらいました。切ないってか、殺伐してんだけどね。まぁいいじゃない。(よかない)
順番的には赤城主なんだけど、ひっくりかえすのはよくあることです。


そう言えば、今期の朝ドラのOPが好きです。かわいい!そして男の子がかわいい。
とっても不親切な流れで申し訳ないですが前回の続き。
「前回って何!?」って思った方はカテゴリから探して頂ければ。

夏目くんはまごまご姫こと雪原さんに横恋慕している男の子です。
一ノ瀬さんは、夏目くんのクラスメイト。優等生さんです。



かわいいお姫様は、すてきな王子様と最後はしあわせになる。おとぎ話の正しい終わり方。

私は、そんなおとぎ話の終わりが好きだった。かわいいお姫様になりたかった。
もちろん、「なりたかった」というのは、「なれない」とわかっているからこその気持ちなのだと、ずっと昔から知っている。


「良いこと、って?」

夏目くんはあからさまに不審そうな、まるで乗り気ではない表情をしてみせた。魔女のささやきに顔をしかめる王子様みたいに。

「夏目くん、好きな人がいるでしょ?」

はっきりと言えば、夏目くんは今度こそ顔付が変わり、あからさまに私を警戒した。
朝のHRが始まる前。周りはみんな友達同士で喋ったり、音楽を聴いていたり、携帯の画面を見ていたり。誰も私達の事なんて気に掛けてもいない。

「……いないよ、そんなの」
「嘘。私にはわかるよ。だっていつも見てる」
「…そんな、見てなんて…」
「自覚ないの?あんなわかりやすいのに?」

これは、少し誇張しているかもしれないけれど事実だ。夏目くんは、結構人目を憚らずあの子を見詰めていた。ガラス一枚隔てた向こう側の手に入らないものを見るみたいに。廊下でも、階段でも、昇降口でも。
夏目くんはしばらく困ったように私を見ていたけれど、そのうち居心地悪そうに視線を逸らした。柔らかそうな髪がかかって、目元が見えなくなる。けれど、それも一瞬で、彼は顔をあげ、きっぱりと言った。

「いない。そんなの、一ノ瀬さんの勝手な思い込みだ」

…意外に強情。そしてとっても嘘が下手。嘘を重ねるごとに罪を重ねるとでも思っているのかしら。本当にお人好し。「超」のつく良い人。

(…ばっかみたい)

ほんの少しだけ冷ややかな気持ちになりながらも、これは予想の範囲内だった。夏目くんに好きになってもらいたい女の子とはそれはそれはたくさんいるのだ。だから、不用意に好きな女の子の名前なんて言おうものなら大変な騒ぎになってしまう。その辺りの配慮も完璧なのだ。

「大丈夫、誰にも言ったりしないから」
「だから、そうじゃなくて」
「知らない?私も一応美術部なんだよ?」

これは、覿面に効果があったらしい。夏目くんは目を見開いて、それからまじまじと私を見た。

「…そうなの?」

その警戒心の解けていくさまは、本当に笑っちゃうくらい見事だった。この人、もしも私が極悪人だったら散々利用された挙句に哀れな人生の末路を歩かされるところだ。
もちろん私はそんな極悪人じゃないし、嘘をつく事は平気だとはいえ、美術部所属は嘘じゃないから問題はない。



むしろ、私は幸せの魔女だ。良い人には良い魔法を授ける、そんな存在。




***********


いつも見てるでしょ?そう言った一ノ瀬さんの言葉に心臓がどくりと嫌な音を立てた気がした。
そんなにわかりやすいんだろうか。そんな、クラスメイトとはいえ、それほど親しくもない一ノ瀬さんにわかってしまうくらい俺は見てしまっているんだろうか、あの子のことを。

始業チャイムがなってこの話は一旦お開きになった。先生が出欠の確認をしている間、さっきまでの一ノ瀬さんとのやり取りをずっと考えている。

(良いことって…どういうことだろ)

それと、俺の好きな子と、どういう関係があるんだろう。よくわからない。そもそも、一ノ瀬さんが何故急にそんな話を振ってきたかもわからない。

『自覚ないの?あんなわかりやすいのに?』

あっさりと言われた一ノ瀬さんの言葉は、ちくちく小さな棘みたいだった。
わかりやすい、でも、結局何もなかった。
当たり前だ。だって、俺は結局何も言えなかったんだから。

溜息をついて机に突っ伏したら、先生に「まだ寝るには早い」と怒られてしまった。

昼休み。俺と一ノ瀬さんは中庭にお昼を持って移動した。中庭、と言っても日も当たらない裏手のほうだ。滅多と人は来ない。
そう言えば、一ノ瀬さんのお昼ご飯は、ごはんと呼んでいいものかどうか躊躇うようなものだった。ビスケットみたいなのと、「ビタミンC入り」だと表示してある飲料水。レモン何個入りだとか、なんとか。

「…宇宙食みたい」

思わずそう言うと、一ノ瀬さんは、俺の弁当を見て「立派なお弁当」とぽつりと言った。それは嫌味とかじゃなくて純粋にそう思って言ってくれたみたいだった。

「夏目くんのお母さんてお料理上手なの?」
「え?上手なのかなぁ?それはわかんないけど、でも美味しいよ?」

だって、お母さんはごはんを作ってくれるものじゃないかなと思うんだけど、一ノ瀬さんはそれ以上は何も言わなかった。
一ノ瀬さんは、ビスケットみたいのをぱきりと齧って、俺はミートボールを口に放り込む。しばらく無言でお昼を食べて、先に口を開いたのは俺の方だった。

「…あれからさ、考えてたんだけど」
「何を?」
「良い事思いついたって言ってたけど…、何かこれっておかしくない?」
「何が?」

ぱきん。一ノ瀬さんの二枚目のビスケットが割れる音が響く。

「だってさ…、これじゃあまるで俺が弱みを握られているみたいじゃない?」
「弱み?」

面白そうに、一ノ瀬さんが重ねて言う。話していて不思議なんだけど、一ノ瀬さんと話していると何だか女の子と話している感じがしない。それ以前に、「一ノ瀬さん」と話している感じがしない。
普段の一ノ瀬さんを必死に思い出すんだけれど、どんなだったろう。勉強が凄く良く出来て、真面目で、先生からもクラスの皆からも頼られていて…それから。それから?
今、隣に座って足を組み、ペットボトルから直接ジュースを飲んで、無造作にビスケットをぱきぱき食べている女の子は一体本当に一ノ瀬さんなんだろうか。

「あのさ、夏目くんの話は見当違いも甚だしいよね」

ぱたぱたとスカートをはたいてビスケットの屑を払い落した一ノ瀬さんはおもむろに立ち上がった。

「そもそも、弱みを握られていると言えば、私の方じゃない?」
「…うん…」

そうだ。「言わないでほしい」と言ってきたのは一ノ瀬さんの方だ。なのに、彼女はこんなにも落ち着いて、堂々としている。
それだけ、俺を信用している、か、どっちかといえば言えるわけないと高をくくっているのだろう。
それと、たぶん俺がそれを誰かに言ったとして、どうでもいいことなんだ。何だか、そんな気がする。
あの時一緒にケーキを食べてアクセサリーをプレゼントしていた男の人も、泣きながら話していた男の人も、今はたかれたビスケットの屑みたいなものなんだ、きっと。

「だから、これは私の方の譲歩でしょ」
「…じょうほ?」
「言わないでいてくれる代わりに、夏目くんの恋を応援してあげようってこと」
「どうして一ノ瀬さんがそこまでするの?そんな事しなくたって俺は何も言わないよ」

一ノ瀬さんにとってどうでもいいことは、俺にとってもどうでもいいことだ。第一、よくわからないし。

「そんなに…興味があるとも思えないし、だいたい興味本位ならお断りだよ」

そもそも、どうこうするつもりもない。
一ノ瀬さんはしばらく意外そうな顔をしていた。それから、ふぅん、と値踏みするみたいな目で座っている俺を見降ろす。居心地の悪い視線だった。まるで、責められているみたいだ。イクジナシって。
彼女はしばらく黙りこんでから、静かに口を開いた。

「確かに、私はレンアイに興味はないわ」

その答えを聞いて、ほんの少しだけ俺は失望する。だとするなら、やっぱりあの、一ノ瀬さんと一緒に一喜一憂していた男の人達はビスケットの屑だったんだ。

「でも、友達が変な男と付き合ってたら良い気分じゃないでしょ」
「ともだち?」

思わず聞き返した。一ノ瀬さんから友達だなんて、何だか(今となっては)変な感じがしたから。

「友達よ」

つっけんどんに一ノ瀬さんが言った。むくれたみたいに、でも、自信なさげに。
それから、きっぱりとこう言った。

「雪原さんには、夏目くんの方がいいに決まってる」

その言葉に、その言葉に溢れる絶対の自信に、俺は嬉しいというよりもむしろ混乱した。何を根拠に一ノ瀬さんはそんな事を言うんだろう。そもそも、一ノ瀬さんと雪原さん――真優ちゃんは本当に友達なんだろうか。真優ちゃんのことをずっと見てきたけど全然気付かなかった。突然降ってわいたような話だ。

けれど、その一ノ瀬さんの意味のわからない強気の言葉に、乗っかりたい気持ちも正直ないわけじゃなかった。
どうもする気はない、ただずっと見ているだけでいい。そんなのが嘘だってことくらい、自分でもわかってる。
ただ、動けなかっただけだ。自分一人では、怖くて。目の前のチャンスをむざむざ逃してきただけだ、何度も。

「だから、夏目くんには諦めてほしくないの」

まるで、それを一ノ瀬さん自身が切望しているみたいに彼女は言った。
そんな彼女を、俺はただ黙って見返すしか出来なかった。



 


とまぁ、妙な展開になります。よくお姫様と王子様のたとえ話を出しますがこれは趣味です。














 

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