それとは別に、お友達から「ねぇこれ見てよ!」と見せてもらった写メには「さ.よ.ひ.め.の.涙.」という文字が…。
何ぞこれ!?と思ったら甘夏なんだそうです。果物姫だったんだねさよすけ…(笑)
久しぶりに志波主デイジーのさよちゃんの名前が出たので懐かしくなり、でもって姫って言えば侍だろ!演劇だろ!ということで。
しかし志波主久しぶりすぎるし、さよすけ書くのも久しぶりすぎて自分の志波主を読み返していたんですが…何かこう、凄いですね…出来はともかくとして凄いエネルギーを掛けていましたね私…若かったな…(笑)
別人なったらすみません。
・氷上主デイジーの夏生さんも出てきます。さよすけとはそれなりにお友達。夏生さんの名字は麓(ふもと)と言います。
「ほわぁ…」
ぼんやりと見上げている先には「学園演劇」の文字。
演劇部の部室の前に貼ってあるチラシに、私は足を止めた。
演劇は、羽ヶ崎学園文化祭のメインイベント?って言えると思う。演劇部はもちろん、他の部からの協力もあったりと部活主催というよりは学年全体のイベントと言ってもいい。
出演者の欄には「志波勝己」の文字。そこだけ私には特別に輝いて見えて、自分の事じゃないくせに、すっかり誇らしい気持ちになる。同じ野球部として、鼻が高いんだ。
志波くんは、お侍さんの役らしい。きっと凄くかっこいいんだろうな。志波くんは見に来るなって言ってたけど、絶対見に行くもんね。
(いいなぁ…かっこいいなぁ…)
ほわほわと着物姿の志波くんを想像しながら「姫役」の横に書いてある名前を見て、今度は小さく溜息をつく。そこには「麓 夏生」とあった。夏生ちゃんはとっても明るくて綺麗って評判の子だ。志波くんともちょっと仲良しなの、知ってる。だって前に廊下で見掛けた時、志波くんのこと「かつみん」って呼んでたもん。そんなの、仲良しでないと呼べないよね。
(はぁ…)
夏生ちゃんの姿を思い浮かべて、自分の姿も並べて考えて見る。…どう考えてもお姫様は夏生ちゃんだ。私はどちらかと言えば女中さんって感じ。
夏生ちゃんはちょっと変わってるけど、黙っていたら本当に綺麗なんだ。スタイルだってとってもいいし、私みたいなちんちくりんとは違うもの。志波くんと並んでも全然見劣りしないよね。
(…ってもう!そんなこと考えたって仕方ないよ!)
夏生ちゃんは夏生ちゃんで、私は私なんだから!…見た目以外で良い所を見つければいいんだから。
ふるふると頭を振ってその場から離れようとした時。「ふざけないでよ!」と、怒鳴り声が響いた。…演劇部の部室からだ。
気になって、そろそろと戸をあけてみると、そこには怖い顔した女の子…たぶんあれ演劇部の部長じゃないかな?そしてその前にはふくれっ面した夏生ちゃんがいた。まるで、大人に怒られてる聞きわけない子供みたいにほっぺた膨らましてる。
「今頃になって、劇降りるってどういうこと?そんな勝手な事、許されるわけないでしょ?」
(え!?)
降りる!?劇を!?
思わず声を出してしまいそうになるのを何とか抑える。え、だって、文化祭もうすぐだよ?たぶん来週くらいから本格的に準備期間に入るのに。
それでなくても、演劇は他の出し物に比べて人も時間もたくさん使って準備しているのに…夏生ちゃんどうしちゃったんだろう?
何て言うか、まぁ、あんまり真面目って感じの性格じゃないけど…でもこんな風に人に迷惑掛ける人じゃないのにな。何か嫌な事があったのかな?
ハラハラしながら見守ってると、部長の方は苛立ったように鼻を鳴らして、夏生ちゃんの方を睨みつける。
「それとも何か不満があった?改善出来るところは何とかするから言ってみてよ」
その言葉に、夏生ちゃんはじっとりと視線を動かす。そして、ふいっと顔をそむけてぽつりと言った。
「…きゃすてぃんぐ」
「は?何て?」
「キャストが気に入らない」
(……ええっ?)
しばらく考えて、びっくりした。だってそれって、志波くんのことが気に入らないってこと??
夏生ちゃんの言葉には部長さんも驚いたみたいで、目をまんまるに見開いて、それから一拍置いてダンッと足を踏みならした。
「キャストって…志波くんのこと?!そんなの前々からわかってたことでしょ?第一あんたそれでいいって言ったじゃない!」
「言ったけど、やっぱやなの!イヤなものはイヤなの!やっぱり氷上くんでなくちゃイヤ!!」
(ええええええっ!?)
きっぱりと言い切った夏生ちゃんの言葉に、またまたびっくりしてしまった。だって…いっつも氷上くんのこと追いかけ回してるけど、本当にやっぱりそうなの?冗談じゃなくて本気?
人のことだけど、ドキドキして心臓がひっくり返りそう。
「氷上くんはダメ!だって細すぎて着物似合わないし、第一イメージに合わないもの!」
「似合わないことなんてないもん!いや見た事ないけど、でも絶対絶対似合うもん!」
「…って、そんなんどうでもいいわ!そんなことが理由でやめていいわけないでしょうが!」
「いやー!!ぜーったい無理!!カツミンとマジメにお芝居なんてヘソで茶をわかすくらい無理!!」
「意味わかんないこと言わないでよ!」
やだやだと言う夏生ちゃんの体が、不意にこちらに向く。そして、ばちりと目が合った。
「あっ、さよちゃん!居たの?」
「うぇっ…あ、あの、ご、ごめんなさい…声が聞こえたから…」
「さよちゃーん!はぐっ!」
ふおぉ…真正面から、しかもさっきまで不機嫌だった顔が輝く笑顔になった夏生ちゃん…!や、やっぱりお姫さまだぁ…。前から可愛かったけど、最近益々可愛い気がする。どうしてだろう?お化粧とかしてる風でもないのにな。
こちらに駆け寄って、ぎゅうっと抱きついてきた夏生ちゃんは、かと思ったら突然「そうだ!」と顔を上げた。
「いい事思いついちゃった!」
「な、な、なに…?」
「ねぇ部長ー!さよちゃんがお姫さまをやったらいいよ!」
「…え?」
(…ええええええええっ!)
まままま待って!な、何言うの突然…!!
驚きすぎて声も出ない私にはお構いなく、夏生ちゃんはにっこり笑ってウィンクした。
「だってカツミンならさよちゃんだよねー?」
「うえぇぇ、なななな何が…!!」
「ふっふっふ。夏生サンにはお見通しなんだゾ?」
「ええっ…!」
(う、うそ…!!)
お見通し、の言葉にかぁっとほっぺたが熱くなる。お、お見通しって、何が…な、何を…!?
部長さんはけげんそうな顔をしてまじまじと私を見る。
「一ノ瀬さん…?まぁ悪くないけど、ちょっと身長がね…」
「何言ってんの!これが!いいんじゃん!ばかでっかいカツミンとならんでちまっとしたさよちゃんの!身長差が!いいんじゃん!ギャップ萌えじゃん!!」
「いや、それはギャップ萌えとは違うし」
「とにかく!ほら!見て!この、守ってあげなきゃオーラ!わたしなんかより全然向いてるよ!ちなみに台詞を憶えるのもさよちゃんの方が憶えられるよ!」
「…あーそれはそうかもねー…」
(ま、待って…!)
いくらなんでも、こんな急に…しかも志波くんと!?話が急展開過ぎて付いて行けない。
…そりゃ、一緒にやってみたいなぁって思ったことはあるけれど、でも私みたいなのが、簡単に引き受けられないよ!
「な、夏生ちゃん。そんなことが理由でやめるの、やっぱり良くないんじゃ…」
「そんな事って、どういうこと?」
夏生ちゃんが、思わぬ真面目な顔で聞くから、戸惑ってしまった。
「あのさ、そんな事って言うけど、わたし、氷上くんとの劇だったら絶対辞めたりしないよ。他の誰にも譲らない。それって大事なことだよ」
「う、うん…」
何だかよくわからないけど妙な迫力な押されて頷いてしまった。そ、そうだよね、それって大事なこと…なんだよね?
よくわからないけど、「誰にも譲らない」って言った夏生ちゃんは、何だかやっぱり綺麗だった。
「さよちゃんさ、カツミンと劇やりたくないの?」
「え?」
「やりたくないなら、他の人探すことにする」
(そ…)
それはイヤ。
頭の中で、すぐにそう答えた自分がいる。
あぁ、私も、本当は誰にも譲りたくないんだ。夏生ちゃんみたいに、大きな声では言えないけれど。
「や、やりたい。…やります」
「はい決まりー!やっぱそうだよねー!」
じゃあ、あとよろしくー!と、さっさとどこかへ行ってしまった夏生ちゃんに、私は手を振るのが精いっぱいだった。
~おまけ~
「ちょっと麓!劇出ないんなら、アレ返しなさいよ、話が違うでしょ」
「ドキ。…えーっと、あれ、どこいっちゃったかなぁ?なくしちゃった~」
「うそつけ!氷上くんの隠し撮り生写真!それは劇に出てくれる約束で渡したんだから!!」
「いやー!いやー!だってこれは枕元におくんだからー!!あとこっちは手帳に挟んで置く用、こっちは体操服に縫い付ける用…!」
「約束を守らない子からは没収!!」
「にゃああああああ!!!ごめんなさあああ!!!謝るからっ!!謝るから一枚だけ下さいいいいい!!!」
志波さよが学園演劇で主役するにはこういう経緯があったよっていう。始めからは選ばれないと思うんだ…w
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今は、ときメモGS2と中井さんが熱い!!
大プッシュ!!