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お返事と妄想自堕落日記
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最近GS2をやり直してます。ちょっと前には赤城プレイだったんですが、今は氷上くん。氷上くん親友ですよ念願の!
氷上くん親友モードは感動すら覚える切なさと愛しさだったなと記憶しています。そして実際そうでした。何かわかんないけどすぐ愛情の方が上回っちゃったしね。氷上くんの誠実純情恋少年ぷりパネェです。やはり公式の力というか、ゲームって凄いなって。

そんなわけで公式で萌え充電したのだからこれを糧にお話を考えずにはおれまい!と思ったのですが、うちの氷上主だと全然親友モードにならないのでした。何せデイジーが氷上くん以外を見ないのである。


仕方ねーので、そのような話になりました。


*うちの氷上デイジーは低学力パラというおかしな設定です。怪獣みたいな女の子です。
*でも氷上くんの事が大好きなのです。




【せつないという、気持ちについて】

「いーとーしーさとーせーつーなーさとー…」

カラオケボックス独特の薄暗い部屋の中、マイク片手に歌う彼女は、氷上にとっては高校時代とあまり変わっては見えない。もちろん、高校卒業以来芸能界にスカウトされた彼女はそれなりに磨かれ、洗練されただろう事は氷上よりもむしろ氷上と彼女以外の周りの人間の方が積極的に肯定してくれるから、それはそうだと思うのだが、だとしてもやはり彼女は変わらず見え、何も変わってはいないのだと確信すら持っている。(そしてその事実は、氷上自身にとっても誇らしいことと言えた)
それはともかく、彼女のカラオケ好きは相変わらずで(何せ高校時分は「羽学の女王」の名を欲しいままにしていた)、選曲のジャンルは様々である。そのほとんどが氷上の知らない曲だった。感動的な楽曲であったとしても、自然音を愛する氷上にとって以前この時間は拷問に匹敵する苦行だったが、人間とは耐性がつくものらしく、今では受け流す術を氷上は身に付けている(もちろん、彼女の歌ならば苦であるはずはないが、それでも彼女のカラオケに興ずる時間は一般的な許容範囲を超える長時間なのだとどうか理解してほしい)。音とは水のごとくだ。聴き留めることがなければ右から左へと流れて行くもの―――。

「っはー!ご清聴ありがとうございましたー!!」

やぁ、歌った歌ったと満足そうに備えのソファに座る彼女に、氷上の思考は一旦止まる。違う。僕が考えていた事は決して夏生くんの歌唱についてではないのだ。それはあくまで切っ掛けに過ぎなくて。

「ねぇ、氷上くん何考えてるの?」

ふと視線を上げれば、彼女はくるりと丸い目をこちらに向けている。それはどちらかと言えばわくわくしたような期待に満ちたもので不満そうな表情はない。氷上の恋人(彼女はあくまで「ツマ」だと主張している)の夏生は、自分が「何か考えていそうな顔」が好きなのだそうだ。

「…君は、歌っている時はいつも楽しそうだね」

いきなり考えている内容を口にするのは不躾だと、まずは氷上は彼女を誉めた。別に皮肉でも嫌味でもない。夏生は大抵何でも楽しそうにするし、逆に言えば楽しめない事は彼女は初めから手を付けようとしない。
更に言えば、今、自分が考えを巡らせていた事を不躾に前置きなく口にしたとして、夏生は不機嫌になどなるはずないのはわかっていた。そういう問題ではない、自分も大学生になり、少しは大人になったということ。

「だって氷上くんの前で歌うんだから、楽しくないわけないよ」

くっきりと笑う彼女の笑顔は輝いていて、それはテレビ画面やら雑誌の一面で見られる「麓夏生」を連想させもした。彼女は高校時代徹底して自分の気持ちに忠実だったけれど、社会人になると仕事の面ではさすがにそうはいかない場面もあるらしい。彼女なりの妥協や葛藤があるらしく、「氷上くんの前で」という言葉には言外にそれが含まれていて、それは氷上にかなりの優越とちょっとした心配を同時に発生させる。
疲れたからちょっと休憩~と、向かいに座っていた夏生は氷上の隣に移動し、猫がすりよるみたいにして氷上の左肩に凭れかかった。ふわりと、何か良い匂いがする。

「…で、何考えてるの?」

視界に短いショートパンツから伸びる脚が見える。寒くないのだろうかと尋ねた事はあったけれど、それ以外嗜めたことはない。夏生が着ていると、こういうのは全然「破廉恥」でも何でもなく、到って健全なファッションであるのだと最近氷上は気が付いた。

「切ない、ってね。どういう気持ちだろうかって」
「…せつない?」
「ほら、さっき歌っていただろう。愛しさと切なさと…って」

あと、心強さね、と夏生が頷く。
歌の冒頭だからなのか、あの言葉が妙に頭に残っていた。それは、要は恋愛についての歌で(歌で愛を表現しないものなんて探す方が難しいけれど)、そして恋愛といえば氷上にとっては夏生のことと同義であるのでふと考えたのだ。愛しさと切なさと。
けれども、そこまでで思考が止まってしまった。せつなさ。それは、耳馴染みがあるようだけど実際にはどんなものかよくわからない。

「一般的には、恋愛とは、色んなことを感じるだろう?つまり、楽しいとか嬉しいとか、でもそれだけじゃなくて腹が立ったり悲しかったり淋しかったりすることも」
「…うん、まぁ、そうかな?そういうものか」

夏生の答えが曖昧になってしまうのも無理はないと思った。この「一般的」という物差しが、自分たちにはあまり当てはまらない事をよく知っているので。

「要は、ポジティブな感情ではないと思うんだ。でも、さっき言ったのも怒りや悲しみで、せつない、とは違う。切ないとは一体どういう気持ちなのかというのを、僕は知らずにいるのでは…と考えていたんだ」

愛しさ、はわかる。それは頭で理解するというよりももっと直感的に隣にいる彼女のことだとわかる。だが切なさとは何だ。夏生に対して、そのような気持ちを自分は感じた事があっただろうか。…いっぱしに片想いをし、告白もし、それなりの恋愛経験を経て「恋人同士」であるというのに?
高校時代をふと顧みて考えると、慌ただしかった。学校の階段でのハプニングから出会い、そこから「ウンメイだ!」と追いかけ回されつけ回され、でも気が付いたら彼女の純粋さに惹かれ、今に至るのだ。それらの瞬間はいつも目まぐるしく、新鮮で、驚きに満ちていた、気がする。切ない、だなんて感傷に浸れるような暇はなかった。

「んー。そういえば切ないって何時思うんだろうね?切ないとどうなるの?胸がきゅんきゅんしたり、息をするのも苦しくなったりするのかな?」
「うぅむ…それはそれで別の感情が当てはまりそうだね…いやでも、それも或いは当てはまるのだろうか、うーん…」

胸がきゅんきゅんしたり、息をするのも苦しい。というのは氷上にも経験はある。あるが、それは切ない、とは違う気がする。
無意識に眼鏡のフレームを触りながら、更に別角度から考えてみることにした。

「例えば…そうだ!状況に応じて切ないと感じるのではないだろうか。切ない、と感じずにいられない状況だ」
「状況?…えーと、デート約束してたのにどっちかが風邪ひいちゃって会えないとか?」
「君にしては珍しく的を得ているな!だが、そうだな…それよりも…例えば、僕は君が好きだけれど、君には僕以外に別に好きな人がいるとか」

何気なく口にした「状況」に、けれど夏生は「ええっ!」と顔色を変えた。半分くらいは飲んでしまったアイスティーが入っているグラスを、割れそうな勢いでテーブルに叩きつける。

「ない!そんなの絶っっっっ対にない!!」
「いや、だから例えばだよ」
「例えばでも何でもないものはないの!私が、氷上くん以外の人を好きになるなんて絶対にない!」

断固としてないと言い張る夏生の目には、絶対に譲らないという強さが見れた。わかっている、それを疑うつもりはない。
彼女はまた乱暴にグラスを掴み、中のアイスティーをちゅるちゅるとストローで飲んでいた。
そして、妙に納得したような顔をして、氷上の方に向き直る。

「わかった。氷上くん、私達にそんな感情は無いんだよ」
「…えぇ?」

それは、あまりにも早すぎる結論ではなかろうか、という氷上の思考を遮るように、夏生は自信ありげに「だってね」と続ける。

「だって、私と氷上くんは、どんな事があっても好きって気持ちが変わったり揺れたりすることはないんだもん。だから、切ないなんて知らないし、わからなくってもいい。イッパンテキには有ったとしても、私たちには当てはまらない」

全く、何の解決にもなってはいないが、それは素晴らしく明瞭な結論でもあった。彼女の言葉は力強く、氷上に異論はない。
彼女はこくりと首を傾げて、けれども神妙な面持ちで氷上を見詰めた。

「…ね、氷上くんは、わたしが氷上くんを好きなのに、他の女の子を好きになるとかって、あるの?」
「いや、ないな」

それだけはない。即答だ。断固としてない。

「…やっぱりね」


氷上の答えを聞いて、夏生は満足そうだった。そして、高校生の頃から変わらないへらりとした笑顔を浮かべた。





*****
あの歌です。


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