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お返事と妄想自堕落日記
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むは。一人で考えてたら何だか盛り上がってしまった。し、志波とか赤城とかの事を考えろよぉぉぉ…!!
なんか、今週はイタイ月間になりそうだぞ、こわいぞ。

一応頭の隅では「ぼくうみ」のことを考えているので許して下さい。いいよ、カワイソウなコって思われるのには、慣れてる…。

んで、何かもう色々考えてると涙出てきたりして、私はビョーキですか、そうですか、そうだな。最近ホント涙腺が壊れているとしか思えない。



もちろん、この話は表にある志波長編とは関係ありません。if の話です。







「おい」
「……」
「おい、おいったら!!」
「……へっ!?」

はっと、気付いた時には、もう目の前に若王子先生が立っていた。

「一ノ瀬さん、もしかして起きたまま寝ちゃいましたか?」
「あわっ…、あの、その…!ね、寝てませんけど…聞いてませんでした。…すみません」
「やや、正直ですね。そんな正直に言ったら、でも、他の先生は怒ってしまうので、寝てしまいました、と言う方がいいかもしれません」

若ちゃん、それも怒られるって!誰かがそんなヤジを飛ばして、クラス中が笑いに包まれて何となくうやむやに終わってしまった。こつりと、後ろから頭を軽く小突かれる。

「お前は。せっかく俺様が教えてやってんのに、気付けよ!」
「ハリー、そうだったの?」
「そうだったの?って。お前なぁ、最近ぼーっとしすぎだぞ!…何か、顔色悪ぃし。ちゃんと食ってんのか?」
「…はい、じゃあ、一ノ瀬さんは出来なくても仕方ないので、針谷くん。代わりにこの問いに答えてみてください」
「げぇっ!?な、なんで俺が!…あーもー!お前のせいだかんなっ!」

ハリーの恨めしそうな声を聞きつつ、私はまた、考え事の中に沈み込む。あの、幼馴染のこと。
もしも、ゆぅくんなら、ハリーのような事は言わない。私が何か困ると、ゆぅくんは(同じクラスの時は)いつもかばって答えてくれた。ゆぅくんは特別優等生というわけではなかったけれど、勉強が出来ない方ではなかったし、運動はむしろ得意だったし、そして友達もたくさんいた。私に対してだって、いつもいつも意地悪な事を言うわけじゃない、普段からぶっきらぼうではあったけど、そうして助けてくれたことは何度かあった。

ただ、体は反射的に怖くて身構えてしまう。ゆぅくんが何がきっかけでああなるのか、それは今でもわからない。急に機嫌が悪くなったり、わけもわからずに怒ったり、物凄く意地悪を言って来たり、そんな風になるのが単純に怖かった。

――母親のこと。

ずっと、決して溶けてなくならない金属のように心に残り続ける出来事。友達には誰にも話してない…もちろん志波くんにも。

はぁ、と、またため息が出た。私は結局ゆぅ…いや、藤枝くんと「付き合っている」。それも、誰にも言ってない。
付き合うからと言って、何か特別嫌な事をされるわけでもない。電話なんて全然ないし、メールだって、ごくたまに。そして、時々待ち合わせて一緒に帰る。…一緒に帰ると言っても、藤枝くんははばたき市に住んでいるわけじゃないから、わざわざ羽学近くまで出てきてくれている事になるのだけれど。

――お前みたいなやつが、本気で相手にしてもらえると思ってんの。

ずきりと、胸が痛くなる。私が、見て見ないふりをしてきたこと。藤枝くんは、私が言われたくないことを簡単に言い当てる。

(…関係ない)

「…せ、…一ノ瀬!」
「……えっ」

がしゃん、と、けたたましい音がすぐ近くで鳴って、反射的に身を縮めた。何?何が起こったの?
先輩、大丈夫ですか?という後輩マネージャーの鈴原さんの声や、あと色々な人たちの声がどんどん私の周りに集まってくる。

「へっ、へいき…ごめんなさ」

そう言って、立ち上がろうとして…でも、出来なかった。何だか、力が全然入らない。別に、どこも痛くないし、特別疲れているわけでもないのに。
ぺたりと座り込んだままの私に、集まってきた部員の波をかきわけ、背の高い人が傍に来てくれる。…志波くんだ。
志波くんは、私の顔を覗き込んで、顔を顰めた。「立てるか?」と言いながら、腕を支えてくれる。…大丈夫、今度は立てた。

「あっ、ありがとう…あの、もう、大丈夫だから」
「……お前、もう今日は帰った方がいい」
「…え?」
「全然、大丈夫なんかじゃないだろ。…何があった?」

いつもよりももっと低い声で、志波くんは呻くように呟く。なにが、あった。
志波くんは、怒っているわけじゃない。それはわかった。わかったけれど、けれど、何も言えなかった。…言えるわけない、こんなこと。

「何でも…ないよ。でも、ちょっと疲れてるのかも。…お言葉に甘えて、今日は、早退します」
「………わかった」

ため息と一緒に、志波くんは頷く。やっぱり、もしかしたらちょっとは怒っているのかもしれない、と思ったけれど、志波くんは背を向けて練習に戻ったので確かめようもない。
実のところ、志波くんは怒るよりもむしろ落胆していたのだということは、その時の私にはわかるはずもない。

一緒に歩いていても、どこかのお店に入っても、ゆぅくんは楽しいのか何なのか、全然わからなかった。本当は、ゆぅくんもこんな事はしたくないんじゃないかと思える。でも、やめようとはとても言いだせなかった。そんな事言って、怒らせたくはなかったし、「母親のこと」という脅しは私には充分効果があった。
きっと、昔みたいに、私が困って泣くのを楽しんでいるんだ、と思う。だって、再会したときだってそうだった。泣くなって言うくせに、泣くまでしつこくしてくるのは、昔から知っている。
…でも、それならどうして、いつもあんなに不機嫌そうなんだろう。

夜。今日は、お父さんが帰って来ていた。コーヒーを持って、お父さんの仕事部屋のドアをノックする。

「コーヒー、持ってきたよ」
「…おぅ。そこ、置いといてくれ」
「…あの、お父さん。今話せる?」
「それは、聞く前に見て判断しろ」

パソコンに向かったまま振り返ろうともしない、お父さんは、確かに話なんて出来そうになかった。このコーヒーだって、きっと一口も口を付けられないまま冷たくになるに違いない。
けれど、私はそこでは引きさがらなかった。お父さんと話したい時は、こんな事で諦めてたら一生話なんて出来ないというのを、最近知った。

「話が、したいの。…お母さんのことで」

こう言えば、お父さんは絶対に振り向く。これは昔から知っていた。お父さんはお母さんの事を、決して軽く扱ったりなんてしない、どんな時も。
皮張りの肘掛椅子をぐるりと回転させて、「何だ」とお父さんはコーヒーに手を伸ばす。それが、承諾の合図だった。

「お父さんは、お母さんのこと、どう思ってるの?」
「…それは、愛しているかどうかって事か?」
「そうじゃなくて…その、お母さんが、家を出てしまった事について」
「俺は、許している。…何度もそう言ったろう?」
「お父さんは、そうかもしれないけど…」

口籠る私を、お父さんはじっと見つめて、それから、一つ息を吐いた。普段、あれほど口も態度も悪いのに、ことお母さんの事になると態度まで別人だった。穏やかで、とても誠実。時々、どっちが本当のお父さんなんだろうと思う。

「要するに、お前が言いたいのは世間一般に見て、百合子のしたことがどう評価されるか。それについての俺の考えを聞きたいと言うことだろ」
「そう、です」
「…世間一般的に見れば、あいつのした事はかなり突拍子もない、更に言えば非道徳的な事だ。幼い娘を、家族を置き去りにして、若い男と駆け落ちした。…お前、俺の親戚たちの反応を見ただろう?世間一般ってのは、あいつらを水で薄めたようなもんだと考えればいい。考えるだけバカバカしいがな。…知らない奴は何とでも言えるのさ。無知であることは時として勇敢になれる」
「…やっぱり、普通は、引いちゃうってこと、だよね」

つまり、アレは藤枝くんが言うように扱われたとしても仕方ない話なんだ、やっぱり。

「お前、何勘違いしてるか知らないが、世間は人間とは違うぞ。そして、それを基準に考えるのはバカげてる。要は、お前がどう思うかだ。お前がそれを恥ずかしいと思うか、許せないと思うか。大事なのはそこだ。誰かに言われたから、そういうものなんだという風には考えるな」

何も言えない私に、お父さんはコーヒーを一口だけ飲んで、また口を開いた。

「あれは、百合子は悪くない。相手の男もだ。お前はむしろ被害者だし…強いて言うなら、悪いのは俺だな」
「…え?」
「だがそのことを、いちいち周りに話して聞かせてやる必要はない。そう思ってる。それは俺の考えだ。お前はお前で思う事があるだろ。それが、あるいは結果的には世間的な考えと合致するという事になるかもしれない。それはそれでいい。意味わかるか?」
「うん…何となく。…でも」

私は、お父さんみたいに自信を持って考えられない。お父さんが気にしないと言えばそういう風に思えるし、でも、みんなが悪いことだと責めるのもわからなくはない。…だから、藤枝くんに言われた時だって何も言い返せなかった。

「何か言われたか」
「………」
「お前の悪い癖だ。自分を過小評価しすぎて、何事も自分が悪いせいだと思いこむ。俺に言わせりゃナルシストの考え方だ」

お父さんはマグカップを持ったまま、やれやれと肩をすくめる。ナルシストって実際どういう事かよくわからないけど、何だかわるいもののような感じがした。

「お前はお前だ。その体の半分は百合子から受け継いだものだとしても。…心配するな。人間は間違う生き物なんだ。どれだけ間違った事をしても、死んだら神様が今までの間違いを帳消しにしてくれるらしいぜ?だから心配ない」
「嘘だよ、そんなの。お父さん、そんな話どこで聴いてきたの」
「この間、どこぞのカミを信じる信者サマが電話をくれたもんでね。暇だったから相手をしてやったんだ。最後には泣いて謝って電話を切りやがった。まだ話の途中だったのに…小一時間ほどしかもたなかったな」
「……お父さん。そういうの、やめてよ…かわいそうだよ。向こうだって仕事なんだよ、きっと」
「ふん、大した知識もないくせに、俺に宗教の事を説教しようとしやがるからだ。…言っとくけど、この世で恐ろしいのは、カミサマよりも秘書さまだからな、俺にとっては。…さて、そろそろいいか?明日までにデータまとめないと、恐ろしい秘書サマに何されるかわかったもんじゃない」

コーヒーの入ったカップをサイドテーブルに置き、お父さんはまたぐるりと椅子を回転させてパソコンの方にむかった。…結局、明確な答えが見えたわけじゃないけど、それでも心は少し楽になった気がする。
そうだよね。私は私の気持ちをちゃんと話さなきゃ。藤枝くんだって、このままでいいとは思ってないはずだから。…だって、あんな顔、しないもの。藤枝くんはちゃんと笑うし、ちゃんと怒る人だ。

「ありがとう、お父さん。コーヒー、もういい?下げようか」
「いい。…まだ飲むから」

おやすみなさい。そう言って、私はお父さんの部屋を出た。





何か、父を出したかったという件。で、出てくるとすげぇ喋る件。
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