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お返事と妄想自堕落日記
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空気を読まずに幼馴染藤枝の話。もーさっきから腹ん中でランバダダンス踊ってる!!絶対踊ってる!!ってくらいリズミカルに痛いので、お薬を飲もうと思います。月イチにカーニバル開くのやめてくんないかな?(笑)



ちょっと、若干ですがバイオレンス風味になりそうなので、お気を付け下さい。こんな注意書きは不要だというくらい誰も見てはいないと思いますがw






「なぁ藤枝さぁ、この間女連れで歩いてたろ?あれ、カノジョ?」

突然、自分の話題を振られて反応が遅れてしまった。…しかも、一番触れられたくない話だ。その言葉に、それまで大人しかった他の奴らまで色めきたって身を乗り出す。自分には火の粉がかからないと判断すれば、こいつらはハイエナのようにたかり続けるのだから、面倒この上ない。

「…別に。どうでもいいだろ」
「えー、あっやしー。だってさ、並んで歩いてただろ、お前」
「うるせーよ、詮索すんな」

迷惑だというのを隠しもせずに、俺は舌打ちした。だが、これくらいの態度ではこいつらは収まるはずがない。それどころか益々増長していくのは目に見えた。こうなったらもうこいつらが飽きるのを待つだけだ。無視するに限る。

「藤枝の彼女ってどんなん?」
「えーっと…なんか、ちっちゃくてさぁ、顔見えたけど、かっわいいの!なんてーの?こう、守ってあげたくなるタイプっつの?羽学の制服着ててさー」
「お前は何でもかわいいんだろ?誰見ても言うじゃん」
「へぇー、羽学。あそこ女子の制服かわいいよなー」
「まさか年下?なんか意外、藤枝がそーいうオンナと付き合うって」
「…おい」

話は俺じゃなく、さよの話になっている事に、苛立つ。友達のオンナの話なんて、大抵はこういう感じになるだろう。現に俺だって逆の立場ならそうしたに違いない。…けれども、今、こいつらにあいつの話をされるのは嫌だった。

「なーなー、いつから付き合ってんだよ?お前、そういうの結構黙ってるよな?」

止めようとすればするほど、火に油を注ぐことになる。その勢いは止められそうになかった。

「もしかして、もうちゅーしちゃったりとか?」
「まさかその先とか?」
「…っ、おい!止めろっつってんだろ!」

話を一番初めに仕掛けた奴の胸倉を掴んで引き上げる。周囲の下卑た笑いが、一瞬にして消え去った。

「ちょ…悪かったって。…んな、怒んなよ」
「…あいつの話は二度とするな」

そう吐き捨てて、何も入っていないカバンをひっつかんで教室を出る。後ろで何事かざわついた感じがしたが、どうでも良かった。今日は、これからさよに会う。だから学校も早めに出なきゃならなかった。

俺の無理やりの「申し出」をさよは承諾し、俺たちは「付き合っている」事になっている。
ずっと望んでいたことが叶ったはずなのに、あの日から、気持ちはずっと塞がっていた。少しも、満たされない。満足できない。何故こんな気持ちになるのかわからない。
さよは、大人しいものだった。大人しいというよりも、感情なんてまるでないような淡々とした態度だ。それでも、自分の事を志波には余程知られたくないらしい。俺の要求することを、一度だって嫌がった事はない。そういう素振りすら見せない。…まぁ、要求って言ったって別に何かさせたわけじゃない。例えば今日は一緒に帰れるかとか、週末は会えるかとか、そういう事を断らないというだけの話だ。

さっきの、学校のヤツラの話を思い出す。…そういう風に、話を持って行ってしまおうかと、考えたことがないと言ったらウソになる。順序は間違っているが、その方がずっと安易に手に入るものはあった。
だが、考えた瞬間にそれはダメだともう一人の俺が叫ぶ。今の関係だって卑劣な手段で手に入れたのに、俺はこの上まだあいつを傷つけるのか。それに、今度は泣かせてしまったでは済まない。
第一、そんな強引な手段を自分が出来るとも思えなかった。今だに、怖くて手も繋げない。別に、他に付き合った事がないわけじゃないから、手を繋ぐなんて慣れているのに、あいつには指一本触れられない。

怖い。もしも、その時にこそ拒絶されたら。

「付き合いたくない」「会いたくない」、そう言って駄々をこねられる方が、精神的には余程楽な気がした。だけど、俺が会いたいと言わなければあいつからの連絡などないだろう。あるはずがない、さよは、俺の事なんてこれっぽっちも好きじゃない。むしろ怖くて、嫌で、会わずに済むなら一生会わないでいたかったと思われているに違いない。どうしてこんな事になってしまったんだろう。今のこの関係に、意味なんてあるのか。

(…ダメだ)

弱気になるな。意味なんて、心なんてなくったっていい。こうしてあいつを繋いでおけば、少なくとも他の男に取られる心配はない。…ない、はずだ。もしかしたら志波はそれすら無視してくるかもしれないが、さよは俺から離れないだろう。
あいつが、俺に歯向かえるはずがない。

待ち合わせ場所には、さよが先に来ていた。地面をじっと見つめていた視線があがって、俺の方を見る。子犬みたいなくるんとした目が、俺に気付いて、じっとこっちを見ていた。

「…待たせたか?」
「うぅん、そんなには」

それ以上は言葉が続かずに、二人して黙ってしまう。いつも、そうだ。さよは、必要以上の事しか口をきかない。俺の質問の、答えしか言わない。仕方がないとはいえ、歯がゆいには違いなかった。

「…あの、藤枝くん」
「…なんだよ」
「あのね、お腹空いてない?どこか入ろうか」
「………あ、あぁ。…そうだな」

こんな事は初めてだった。さよの方から何か言ってくるなんて。…どこか、入ろうだなんて。
返事が遅れてしまった俺に、さよはまっすぐ、特に表情に変化もなく俺を見上げている。

「それなら、行こう?」
「でも、俺、この辺の店あんまり知らねぇけど」
「うん、私が案内するよ。甘いもの、平気?」
「いや、苦手」
「そ、そっか…。えーと、じゃあ、ハンバーガーとかは?」
「それはイケる。…もしかしてウィニングバーガーのこと?」
「うん、そうだよ。…知ってる?」

歩きながら、とにかく喋った。あいつは背が小さいから、周りの音に混ざって声が聞き取りにくい。必死に耳に神経を集中させて、俺はあいつと話した。…たぶん、初めてまともに。たったこれだけの事なのに、心臓がやたら早く動く。

「…あそこさ、変なメニューあるだろ。それで面白がって、ダチとたまに」
「へん?もしかして『てりやきうどんバーガー』とか?友達が前に食べたって」
「そう、それ。…大して美味くなかったけど」
「うどんは照り焼きじゃないほうがいい、って言ってたよ、その子」

(…あ)

今、わらった?
さよは少し前を歩いているから、表情はよく見えない。都合のよい勘違いかもしれない。


バーガー屋に着いて、注文したものを受け取り席に座る。(結局はありふれたメニューを注文した)他にも客は入っていた。時間帯から、大学生っぽい人や、一人でいる若いOLとか会社員や、俺たちみたいな高校生同士や、とにかく色々と。
さよは、「いただきます」と律義に小さく言って、さっさとハンバーガーを手に取り、齧りついていた。女って、何であんなちまちま食べるんだろうかと、つい見てしまった。小さな口元が、肉の脂か何かでてらてら光って、ついそれに目を奪われてしまう。

「…藤枝くん」
「……あ?」
「食べないの?お腹空いてるんでしょ?」
「あ…あぁ」

きょとんとした瞳を返されて、慌ててハンバーガーを手に取った。どうかしてる、俺。

そう、どうかしてたんだ。珍しくもさよから話をふられ、笑顔を、見たような気でいて。…まるで、普通に付き合っている者同士みたいだと、錯覚したんだ。今、二人が向き合っているのが、どういう経緯を経たものかなんて、都合よく記憶の向こうに追いやって。
だから、あらかたハンバーガーを食べてしまった頃に言われたさよの言葉は、俺を現実に引き戻すだけでなく、殴りつけるような衝撃すらあった。

「…今、なんて?」
「だ、だから…こういうの、やっぱり良くないと思うの」

怖々と、けれどもしっかりと、さよはそう言った。コウイウノ、ヤッパリヨクナイトオモウノ。
…どうしてそんな事、今更。

「…藤枝くんは…、私をからかって困らせようとして、こういう事してるんだろうけど。…でも、やっぱり、それで「付き合う」なんて良くないと思うし…。それに、私…私は、やっぱり志波くんのことが、好きだから」
「……は」

それが、決定打だった。やっぱり、志波くんのことが好き。今でも、今、俺とこうしてハンバーガー屋に二人でいても。

「藤枝くんだって、付き合うんだったら、ちゃんと好きな女の子と…藤枝くんが好きだって思う子とじゃなきゃ、ダメだよ」
「…………っ!」

がしゃんと、派手な音が店内で響いた。俺が、テーブルの上のものを、全部床下に投げ捨てたからだ。

「…お前、ちょっと来い!!」
「お、おきゃくさまっ…」
「るせぇよ!金は払ってんだ、ガタガタ文句言うんじゃねぇ!!」

店員の悲鳴と、客の喧騒を後ろに、俺はさよの腕を力任せに引っ張って店を出る。怒りで、頭が沸騰しそうだった。いや、もう脳みそなんて沸騰して使い物にならなくなったに違いない。それくらい、頭に来ていた。

ちゃんと好きな女の子と、だと?そうでなきゃ付き合う意味なんてないだと?
だから、俺と付き合う事なんて出来ない?

「…ぃっ、た…!」
「てめぇ…、こんなやり方、どこで覚えたよ?ふざけた事しやがって…!」

店の裏の壁に、叩きつけるようにしてさよを押しつけた。苦しげな声が聞こえたが、無視した。怒り任せに力の限り、小さな華奢な肩をぎりぎりとコンクリの壁に押し付ける。

「痛、ぃ…。や、めて、ゆぅくん…」
「…言っただろ?俺と別れたら、志波にお前のおばちゃんのことバラすって。きっと、噂はそこだけに留まらないだろうな?そのうちに、皆が知るぜ。せっかく『スゴク』楽しい羽学も、また転校しなきゃいけなくなるかもな?前みたいに!」
「んぅ…、い、言いたかったら、言えばいいよ」
「…なに?」

ふと、押さえつけてた力が抜ける。それと同時に、さよは押さえつけられた部分をかばいながら、それでも俺から目をそらさなかった。涙がゆるゆると溜まった、澄んだ目。

「それで…嫌われちゃっても、仕方ないもん。…お母さんの事、もしも軽蔑されたら悲しいけれど、でも、それならそれで仕方ない。それよりも私は、これ以上、自分に嘘をつきたくない」
「うそ…?」
「…私は、志波くんが好きなの。…ゆぅくんは、ちょっと怖いけど、でも大切な幼馴染なの。今まで一緒にいて、それは変わらなかった」
「…るせぇ」
「好きじゃないのに、付き合うなんて、そんなの出来ない。…ゆぅくんだって、そうでしょう?嫌いな私をからかう為だけに、付き合っているフリするなんて、本当は嫌でしょう?」
「うるせぇ、黙れよ!!」

殴ろうと思った。そうして腕を上げて…でも、出来なかった。出来るわけがない。
手も繋げないのに、殴るなんて、どうして出来るよ。



上げかけた腕を力なく下ろして、俺はそこから黙って離れた。…逃げるように。







そりゃそうだ。さよすけは志波のものだからね。
それにしても、女の子に何てことするの!!めっ!


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