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お返事と妄想自堕落日記
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 色々雑用は済ませたはずだったけど、結局もう一度買い物に行かなければいけないらしい。


本当はもうちょっとゆっくり話を進めてもいいかと思っていたんだけど、考えてみたら後から付けたしても良いよなというわけで。
それにしても、一体何がきっかけでこの二人を思いついたのか思い出せない。何だったけか。





 


※夏目くん、とは以前出てきたワンコくんです。



「…ちゃん、真優ちゃん。まーゆーちゃーんー!」
「…え、きゃぁっ」

気が付くと、夏目くんが顔を覗き込むようにして見ていた…ち、近い近い!
夏目くんは違うクラスだけど、出身中学が一緒で、こうして時々遊びに来てくれる。夏目くんはとっても気さくで優しいから、皆から人気があって、話し相手なんかいくらでもいると思うんだけど、私にもこうやって話しかけてくれるいい人だ。
茶色い柔らかそうな髪(染めてるわけじゃなくて地毛なんだって)が、ふわりと揺れる。…矢代くんの黒い髪とは対称的だなぁって、いつも思う。髪だけじゃなく、色々と対照的だ。サッカー部の練習で走りまわってたりとか、表情豊かなところとか、よく笑うところとか。

「真優ちゃん、最近元気ないね」
「そう?」
「うん。元気ないっていうか、考えごと?ぼーっとしてるもん」
「あ…」

考えごと。
言われて、ちらりと矢代くんの方を見る。席について、矢代くんは何か参考書みたいのを開いてる。いつも成績はトップなのに、予備校とかには行ってないらしい。そういえば、休み時間とかも勉強してる時あるし、図書室でもよく調べ物してるみたい。

「ほら、またぼーっとしてる」
「ふぇっ…ご、ごめんなさぃ」

矢代くんは、最近元気がない。元気がないっていうより…ボンヤリしてる。
だって、授業で当てられて慌てる姿なんて、初めて見たもの。先生も「調子悪いのか」って驚いたくらい。

「ね、ねぇ、夏目くん」
「なぁに?」
「あのね…、もしも、誰かが考え事っていうか。悩んでたりしてたら…その、大丈夫?って声掛けても…いいと思う?」
「何でそんな事聞くの?それってフツーじゃない?」
「そ、そう、だけど…。ほ、ほら、鬱陶しいとかって…思われたりしない、かなぁ」
「あぁ、俺だったらどう思うかって、そういうこと?」
「うん。まぁ、そんなところ」

私だって、相手が夏目くんとか、仲良しの女の子とかなら悩んだりしない。
でも、相手は男の子で、しかも矢代くんなのだ。親切のつもりでも鬱陶しいって思われちゃうかもしれない。…この場合、相手が矢代くんだから問題なのであって、夏目くんの話は参考にはならないかもしれないけど…男の子だから、どこか共通するところはあるかもしれない。
夏目くんは腕組みをして「うーん」と一しきり考えてから、にっこり笑って返してくれた。

「俺は嬉しいけどな」
「そ、そう?」
「うん。だって、真優ちゃんが心配してくれるって事でしょ?俺は嬉しいよ、すっごく」
「え、えーっと…」

きらきら笑顔が眩しいです、夏目くん。…何だか求めていた答えとは微妙に違う気もするんだけど…。

「そ、そういうことじゃなくって…」
「まぁそんな俺の話は置いといて。真優ちゃん、その子が心配なんでしょ?じゃあ声掛けてあげればいいよ」
「…そう、かな」
「そうだよ。俺は誰か心配だったり励ましてあげたいって思ったら声掛けるもん。鬱陶しがられたら、ごめんねって謝って終わり」
「で、でも」

私なんかが話しかけて、迷惑って思われないかな?いつも…苛々させちゃってるんだけど。
そう言い掛けようとした時、先に夏目くんが「大丈夫だよ」と遮った。それから、私の頭をぽんぽんと撫でる。

「真優ちゃんが思ってるほど、ムズカシいことじゃないんだから」
「…夏目くんは凄いなぁ」
「凄くないない。この間も赤点3つもあったしさー」
「あの、ありがとう。がんばってみる」

あのね、私、お話するのは苦手だけど、がんばろうって思うんだよ。きっと、「何?」って不機嫌そうな顔されちゃうんだろうけど。
でも、私、矢代くんがもしも何か悩んだりしてるなら、解決なんて出来なくっても、話だけでも聞いてみたい。
知りたいの。




(…また来てる、あいつ)

ちらちらと雪原の席の方を気にしながら、俺は心の中で舌打ちをする。気になって、せっかく空き時間に覚えようと思った英単語も一個も頭に入ってこない。
雪原には好きな奴がいる、らしい。最近、その事ばかり考えていた。お陰で授業も上の空だ。
その第一候補、というか、ほとんど俺の中では確定なのだが、それがあの雪原の席にべったり張り付いているあいつだ。クラスが違う事以外詳しい事は何も知らないが、あいつは、ああしてしょっちゅう雪原のところに来る。見た感じではヘラヘラして愛想だけはいい、みたいな野郎で、でも、俺より数倍女受けは良さそうではある。

何を話しているのかはさすがにわからないが、雰囲気は悪くない。普段、俺の前では態度を硬化させる雪原も、ああして穏やかに相槌を打ったり、時々笑い掛けたり、そういう事が出来るんだと驚くくらいだ。…もちろん、それと共に苦々しい嫉妬もたっぷりと感じるわけだが。
…おい、しかも、何だよ。今、触った?頭撫でた?あんな、簡単に、自然に出来るもの…っていうか、やっていいもんか?ああいうのって。

(…むかつく)

嫉妬のあまり、手にしているシャープペンシルをへし折りそうだ。くそぅ、俺が夢みてるだけの行動をよくもあっさり実行してくれたな。心の底から全力でも呪ってやってもまだ足りないくらいだ。
しかも追い打ちをかけるのは、あろうことか、あいつのその行為に雪原は迷惑そうな顔するどころか、ふわりと笑った事だった。そうされても、ちっとも嫌じゃない、怖くない。そんな風に。

(俺だって)

俺だって、叶うなら触ってみたい。雪原の髪も、手にも、ほっぺたにも…あ、やばい、考え始めたら色々やばい方向に、いや、別にそういう意味だけじゃないって、もちろん。…触れるどころじゃないけどな、実際は。

「おい矢代」
「あ?」
「どしたの、お前。すげー顔コワいけど」

どうやら知らない間に、感情が顔に出てたらしい。慌てて取り繕ったが、うまくいったかはわからない。

「何だよ、何か用か?」
「機嫌悪ぃなぁ。これ、何か廊下で渡されたぞ。美化委員のお知らせです、ってよ。…お前、美化委員だったのな」
「あー…、そういや何か言ってたな…」

委員会は、各クラスの委員が集まったりする事もある。たぶんその時の知らせだろうと、クラスメイトから何枚かプリントを受け取る。面倒だが、これも一応責任を問われるものだから、あまりないがしろにも出来ない。
ぺらぺらと何気なくプリントを確認し、それから、最後の一枚に目が止まる。…何だこれ。

「どうした?何かあんの?」
「……いや、何でも。サンキュ」

渡してくれたクラスメイトには礼を言いながらも、「それ」が見えないように上手く角度を付けた。渡されたプリントの最後の一枚に、小さな、いかにも女子が好んで使いそうなデザインの付箋が貼られていたのを。

その時、俺は全くもって面倒なことになったと、憤慨さえしてた。出来れば関わり合いになりたくないが、ここで変に避けても何の解決にもならないことだというのはわかっていた。
けれど後から考えれば、これこそが、俺のどうにもならない状況を動かす切っ掛けになったんだ。




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