忍者ブログ
お返事と妄想自堕落日記
2025.04 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30
[659]  [658]  [657]  [656]  [655]  [654]  [653]  [652]  [651]  [650]  [649
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 風邪をひいたようなので薬を飲んだのですが、一瞬自分のいる場所が夢か現実かわからなくなるくらいの眠気に襲われました。こわかった。独り暮らしってこういう時怖い。
思うに、薬もでしょうが、今日まであんまり寝て来れなかったのが一気にガツンと来たようです。

で、そんななのにまた書きに来たのは半分開き直りみたいなのある。

そういえば、びずろぐ発売されたのですね。刻々とGS3発売が近付いて来ていてwktkしております!
で、そんな私はびずろぐ読んだ事なくて、いつも周りの方々のネタバレ見てあたかも読んだかのように騒いでいたのですが(だっていつも私が読ませて頂いているレポは本当にわかりやすいのでそういう気持ちになる)、ある時「えっ?aikaさんってビズログ読んでないんですか?」という、読んでないのにあのはしゃぎっぷりですか?的な事をどこかで言われ、恥ずかしいというか居た堪れない気持ちになったので、今回は控えめにはしゃいでおきます^^

 






付箋に書かれていたのは、簡単に言えば呼び出しだった。はっきり言って、俺は全く女には人気が無いと言えるが、こういう事を丸っきり経験したことがないわけではない。
中学の時にも2回あった。一回は顔も知らない先輩から、もう一回は同級生からで、しかも罰ゲームだった。わかっていたから「お前なんかと付き合う奴の気がしれない」と言ってやったら泣かれたっけ。まぁ、今となってはかわいい思い出だ。俺もガキだった。

高校に入ってからは初めてだ。時間は放課後、場所は中庭。それにしても、学校ってのは何だってこう、あちこちにコソコソ隠れてしまえる場所があるのだろう。逃げ道も、隠れ場所も山ほどある。迂闊だよな、オトナって。

「ごめん、待たせた?」
「あ…ううん、大丈夫」

中庭にぽつんと立っている女子生徒に声を掛ける。見知った顔だ。例の美化委員で何度か顔は合わせてる。声を掛けて顔を上げた時の表情に、少しばかりの胸の痛みを感じた。あとは、本当に、ほんの少しの優越感。…俺って本当に嫌な奴だ。
罰ゲームなら良かったのに。そう思った。

「突然呼び出したりして、ごめんね」
「いや。…で、話って何?」
「あ、あの…」

相手は俺の至って冷静な態度に(この場合は冷たい、だろうか)、不安でなのか大きな目を潤ませる。そりゃそうだろう。ここまで来て世間話をするわけじゃなし、男の方だって大抵は期待もするし緊張もする。そういうところが欠片もないとなると、不審に思うのはおかしなことじゃない。

「わっ、私…、あの、委員会で、矢代くんの事見た時から…、す、好き、になったの」

消えそうな声で精いっぱい気持ちを告げる彼女を見て、だがその時俺は、不謹慎にもそれが雪原だったら、という想像をしていた。もしも雪原が、この子みたいに声を震わせて、俺の事を好きだと言ってくれたら。そうしたら、俺は何も迷わないのに。
だが、雪原でなくとも、俺は迷わない。答えは、決まっている。

「悪いけど」

努めて無感情な声で、俺は切り出す。この場合、断ることになっても「ありがとう」くらい言うのが礼儀なのかもしれない。少なくとも、それくらいの敬意は彼女に感じている。好きな人に好きだと伝えるのは凄く勇気のいることなんだ。俺にもわかる。

「あんたとは付き合えない。ごめん」

とりあえず妙な感想は口にせず、簡潔に答えだけを伝える。彼女は残念そうに顔を歪め、「そっか」と小さく呟いた。胸が痛い。…まるで、雪原の告白を断ったみたいに。
しかし、そんな偽善的な胸の痛みは一瞬だった。彼女はふと顔を上げ、さっきよりも何故か決意を秘めたような顔をして俺を見る。

「矢代くん、好きな人、いるの?」
「は?何、急に」
「わ、わたし…矢代くんに、好きな人がいても…、そんな簡単に諦められないよ…っ」

思わず舌打ちをしそうになった。最も回避したかったパターンに嵌り込みつつある。そりゃ、俺のことをどう思おうがそれは自由だけど、それをわざわざ宣言されたって困る。

「…それは、関係ないだろ」
「そうだけど…っ、でも、知りたいんだもん!どんな子が好きなのか、とか…私、矢代くんに好きになってもらいたいもん…!」
「そんな事、わかったところで俺はお前なんか好きにならねーよ!」

酷い事を言っている自覚はある。だけど、こんな好意の押し売りみたいなの、はっきり言って迷惑だ。どうしてこいつと雪原を一瞬でも重ねたりしたんだろう。そんなセンチメンタルな事を考えてるから、こんな面倒な事になったとすら思えてきた。呼び出された時点で、用件はわかってたんだ。本当に関わり合いになりたくないなら、来ないのがベストだった。
俺の一喝に、彼女はびくりと肩を震わせ、みるみる涙を目に溜める。その事が、益々苛立ちに拍車を掛けた。
どいつもこいつも、何かっていうとすぐ泣きやがって。まるで俺が悪者じゃねーか。

「はっきり言うけど、アンタの事は美化委員で一緒になった、ってだけだよ、それ以上でもそれ以下でもない。…わかったら、さっさと次探してくれ」

顔面蒼白になって、次の言葉すら言えない彼女を残し、俺はその場から離れた。心には未だ冷めない苛立ちと苦々しさが共に渦巻いている。…全く、今日は厄日だ。
渡り廊下から、すぐに校舎内の廊下に戻る。…そこに、ひとり蹲っている生徒がいた。絵具やパレットなんかを廊下に盛大に散らかしているから、たぶん美術部の奴だろう。ここは美術室近いから―――。

「…ゆき、はら?」
「あ…っ」

そこに居たのは、雪原だった。別に、おかしくはない。何故なら雪原は美術部員だから。

「何してんの。…って聞くまでもないか。てつだ」
「だ、大丈夫っ!」

思ってもなかった強い声で、動きを遮られる。雪原は慌てていた。慌てているというよりも、混乱しているとさえ言ってい挙動不審っぷりだった。手をばたばたと振るから、拾った絵具をまた落としたりしている。

「なぁ、ちょっと落ちつけよ」
「わ、わたし…っ、な、何も…っ」
「何もって何、が…」

そこで、気付いた。無意識に窓の方を確かめる。見える、全然余裕で。

「…見てたのかよ」
「……ぇ、と」
「俺が中庭にいたの、見てたのかって聞いてんの」

自然、声が低くなった。

「あ、の…声、聞こえて…」

もう隠せないと観念したのか、雪原は小さな声でそう答えた。…何てことだ。よりによって、一番見られたくない奴に見られていた。
だが、見られた事は仕方ない。雪原なら周りに言うなと念押しする必要もないだろう。とりあえず床に散らばった絵具を箱に納めて雪原に押し付けて、そのまま通り過ぎようとしたところに、声がかかった。

「さ、さっきの…」
「あ?」
「あ、あんな風に、言うの…」
「何だよ。はっきり言えよ、聞こえねぇ!」
「すっ、好きに、ならない、なんて…。そ、そこまで言わなくっても…いいと思う…っ」

この時感じた気持ちを、何て表現したらいいだろう。とにかく、俺の中の負の感情というか、そういうものへの歯止めが効かなくなってしまった瞬間だった。怒りも苛立ちも混乱も。ついさっき、諦められないと食い下がられた時なんかより、俺の心をずっとぐちゃぐちゃにかき乱した。

「…何でそんな事、お前に言われなきゃいけないんだよ」

辛うじて「誰のせいで」という言葉は呑みこんだ。

「雪原には関係ない」
「そ、うだけど。でも」

でも、って何だよ。こんな時だけ、いい子ぶって俺に説教かよ。だって、好きになんかなるか。俺はどうあったってお前が好きなんだぞ。俺の気も知らないで、何であの女の肩を持つような事言うんだよ。
何もままならなくて、やるせなくて、けれど言葉は止めることが出来なかった。たぶん、止める気もなかった。

「じゃあ、何?好きにならないのに、なるかもって言った方が良かったのか?それでさっきの奴と付き合えばよかったって、そう言いたいわけ?かわいそうだから、付き合ってやれって?」
「ち、ちが…、そんなんじゃ」
「じゃあ、何だよ!わかったような顔して、正論ぶってくんな!ムカつくんだよ!」

雪原のこと、好きだけど、でもそれと同じくらい、嫌いなのかもしれない。でもそれは雪原の事が好きだからで…いや、もう何かわけがわからなくなってきた。
こんな事言いたくない、今すぐにでも謝りたい自分と、一言言ってやらないと気が済まないと息巻いている
自分がいた。そう、一言。何か凄く雪原が傷付くような言葉を。
雪原は、俺の勢いに押されてもう声も出ない。目に涙をためて怯える姿は、ますます凶悪な気分を煽ってきた。


「黙って覗いてんなよ。…悪趣味な奴」

俺は今まで散々雪原のことを怖がらせたが、こんな風に悪意の籠った言葉を言ったのは初めてだった。
言い終わった瞬間、雪原の目からぼろりと涙が零れた。それを見て、痛いほどの後悔が襲ってくる。

立ち尽くす雪原をおいて、俺はそこから去った。…逃げた。
もう終わった、何もかも。頭の中は、その思いで一杯だった。
さっき告白してきた女の事は、もう遠い昔のことのようで、ちっとも思いだせない。






PR
この記事にコメントする
name
title
color
mail
URL
comment
password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
フリーエリア
置いてみた。自分の記憶用。

最新コメント
[07/31 aika]
[07/30 アサマ]
[07/29 aika]
[07/27 ゆうき]
[07/07 aika]
最新トラックバック
プロフィール
HN:
aika
性別:
非公開
趣味:
創作、読書、お散歩、ゲーム
自己紹介:
世間には隠していますが、漫画やらアニメやらゲームやら声優さんやらが大好きです。チキンハートの隠れヲタ(笑)普段吐けない萌えをここで叫んでおります。

今は、ときメモGS2と中井さんが熱い!!
大プッシュ!!
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
Powered by Ninja Blog Photo by COQU118 Template by CHELLCY / 忍者ブログ / [PR]