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お返事と妄想自堕落日記
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あっついわー!もう!!
先日の暑さから汗だくでお送りしています。

とりあえず所謂夏休み期間は仕事が少しだけ暇になる(予定)なので、こっちでも書き物をしていきたいと思っている所存…。
赤城祭りじゃーい!と言いつつ何も出来ないままなので、ちょっと短くなりそうだけどやってみたい。


何故短くなりそうかと言うと、眠いからです。その上、ノープラン!!←

今日もぼくうみ赤城さんで。
*何て言うかまだ素直になれない一雪さん。
*兄夫婦は相変わらずらぶらぶである。←



「いつからここは反物屋になったんですか。しかも浴衣専用の」

夏と言えば、花火。花火と言えば浴衣じゃないか、とは、一体どこで話がそうなったのか。

義姉に兄貴が甘いのはもう既知のことだ。あの人は、義姉の為なら金を惜しまない。「時間を惜しんでいるのだから当然だろう」というのが兄の言い分だ、全く面の皮が厚いったらない。

「伊織さんにも作ってあげたらいいじゃないか」

今日一日は反物屋の主人のようになった兄貴は、僕の嫌味も涼しい顔してやり過ごし、挙句飄々とそうのたまったのだ。
こんな事を言う魂胆は見え透いている。この人は(この人だけでなく、僕と伊織以外の人間はほとんど)僕とあの子が「くっつけばいい」と思っている。だからやれ何処かに連れて行ってやれだの、二人でゆっくり話をしろだの、ほとほと煩い。
僕は僕で「そんなもの必要ありません」と言下に言いきれないのがまた付けこまれる要因の一つでもあった。何故?だって、そんな感じの悪い事をしたら、どんな余計なおせっかいをされるかわからない。付かず離れず、特別嫌うわけでもなく、かといって進展するわけでもなく、それくらいの塩梅が丁度いいのだと最近学んだ。

一つ断っておくと、僕は別に彼女を嫌いというわけじゃない。人物としてはきっと良い娘なんだろうし、何なら友達にだってなれそうだ。別に見た目だって、そりゃあ特別に目を惹くような美人ではないけれど愛嬌のある可愛らしい人だし、性格だって素直で優しいお嬢さんだ。人の良いのに加えて少しおっとりっていうか、ぼんやりしてはいるけれど。
一般的に、彼女は特別な努力も必要なく周囲から愛される子なのだろうというのはわかっている。うちじゃあすっかり彼女は僕のお嫁さんのような扱い、というか家族同然に馴染んでいるのが良い例だ。

問題はそういう事とは別の所にある。問題と言うか、事情だ。とても、個人的な。

「出世払いってことにしておいてやるから」
「経費で落としてよ、若旦那さま」
「なんだ、その気なんじゃないか」
「……誰もそうとは言ってないよ」

素っ気なく言ったつもりだったのに、それは幾分強めに響いてしまってあれこれと反物を見比べていた義姉さんまでがこちらに振り向くことになってしまった。とんだ失態だ。
案の定、琴子お義姉さんは反物を置いてこちらに近付いてきた。きょとりと首を傾げて、不思議そうに僕を見る。

「伊織さんの浴衣、選んで差し上げないの?」
「僕は学生ですし、兄貴みたいに甲斐性がありませんから」
「大丈夫よ、大地さんがそう仰ったもの」
「そういう問題じゃないんです。それに彼女だって折角なら自分で選びたいでしょう?僕なんかが選ぶより」

これは、とても有効な口実だと思った。現に義姉さんの隣に立つ兄貴は「そういうものかなぁ」と考え込んでいる。
伊織は今日は母と出掛けているのでここには居ない。さっきの言葉は口実と同時に本心だ。あの子だって、僕が選んだものを押し付けられるより自分で好きに選びたいだろうに。
だが、義姉さんはにっこりと笑った。きっと彼女の中では精いっぱい「お姉さんぶった」笑顔で。

「あのね一雪さん。そりゃあ自分で好きなものを選ぶのだって楽しいけれど、一雪さんが選んでくださるのは全然意味が違うのよ?」
「何が違うんです?僕だったら勝手に選ばれて押し付けられたものなんて着たいと思いませんよ」
「もうっ!そうじゃないの!一雪さんのわからずや!」
「そんな事言われたって…」

そんな、ほっぺたをふくらませて言われたって見当もつかない。

「押し付けるとか、そういうんじゃないの!一雪さんが一生懸命選ぶんだから、きっと伊織さんは嬉しいのっ!」
「ああもう…はいはい、わかりましたよ」

義姉さんに言われてしまっては、さすがの僕も従わないわけにはいかなかった。ここで意地を通して琴子義姉さんをしょんぼりさせるような事態にでもしようものなら、後々が非常に面倒くさい事になる。

結局、渋々ながらも僕は伊織の為に浴衣を選ぶことになった。


*****


後日。
僕は伊織の部屋に(もちろん行ったのは常識的な時間にだ)、例の物を抱えて訪れた。

「え…浴衣?」
「うん、実はね。義姉さんが作るって言った時に、君の分も頼んでおいたんだ。で、それが出来上がったから」

まず伊織は驚いて目を見開いて、それから目の前にある浴衣を包んであるたとう紙の紐を解く。藍地に白で花柄が入った浴衣が中には入っていた。まぁそれほど目新しくもない、ありふれた柄のものだ。

「折角なんだからって、随分と念押しされちゃってさ。僕が勝手に選んだんだけど」
「一雪さんが…?」
「そう。本当は君が自分で選ぶのが良いって言ったんだけど、聞かなくて…」

だから、ごめんね。そう続けようとしたのだけれど。
そんなことはないです、と、小さな声が、でも、確かに聞こえた。

「一雪さんが選んでくださったなら、嬉しい」
「……そう、か」
「ありがとうございます。大事にします」

浴衣を大切そうに胸元に抱きしめた伊織に、花が咲いたような笑顔で言われてしまって、僕はそれ以上何も言えなくなってしまった。

(…本当は)

彼女の部屋を出て、歩きながらぼんやりと考える。
本当は、もっと他に柔らかな桃色の生地もあったんだ。何となく、それが一番似合うと思った。きっと、着ればかわいいだろうって。頭の中でそれを思い描くのは容易だった。
だけど、それがいいと最後まで言えなかった。もしも気に入らなかったら…どうでもいいと思っていたくせに、そんな考えが頭を掠めた。逆にさっきみたいに大いに気に入られてもそれはそれで素直に喜べるものでもない。そんな風にして自分が選んだものを彼女に着せるというのは気が進まない。…あの子はいずれ、ここからはいなくなる。
だから、誰でも選びそうな無難なものにした。

(僕が選んで嬉しい、だって)

まさかそんな言葉が聞けるとは思っていなかったし、その言葉は思った以上に心に響いた。

「…良かったじゃないか」

ちくちくと胸を苛む罪悪感をやり過ごす為に、僕はわざと言葉を口にする。
さして思い入れのないものでも彼女は喜んでくれた。この夏の間に彼女はそれを着るだろう。それを見て、僕はどう思うのだろう。きっと、似合ってはいるだろうけれど。


それはでも、結局は僕たちの距離なのだろう。
意図的に、作った、必要な隔たり。



 


あれ、何でこんな風になってしまったん?(知りません)
一雪ぼっちゃまは中々幸せになれない…。


 

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