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お返事と妄想自堕落日記
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今日は書き物だけしにきました。あとお返事。


>ミカモさま
そうですか!ゆうきさんのところにも行かれたのですね!素敵赤城や、素敵ときめものお話がたくさんありますよねニコニコ^ω^ ではミカモさんはときめもの世界を今思い切り楽しんでいらっしゃるのですね!残念なことなどありません!始めた瞬間からが皆同じメモラーですとも!キリリッ
ときめも二次だけでなくオリジナルまで楽しみにしてくださってるとは…うおおどれだけ心お優しいというか、もう本当に嬉しい限りです…!どちらもやっぱりそれなりに想いを込めて書いておりますので、どちらも楽しんでくださると聞くと本当に嬉しいです。
お言葉、ありがとうございました!



三木清佳(みき さやか)ゆるくてふわふわしている。見た目は王子様。
藤枝羽衣子(ふじえだういこ)三木くんと同じ天文サークルの女の子。性格は真面目。


***


「うつくしいひとみのおひめさま」の話は、昔、ママがよく聞かせてくれた話だ。とある王子が、真実の愛と幸福を求めて旅をする。そして、一人の娘に出会う。彼の真実の愛と幸福をもたらす娘に。何故それがわかったかというと、王子は娘の瞳を見たからだ。
『そのむすめは、王子さまがいままで見たこともないうつくしいひとみのもちぬしだったのです。』

ちーちゃんはあの話が好きではなかったけれど、俺は割と気に入っていた。王子が、そういう娘と出会えたことは単純に素敵なことだと思えたし、何よりその話をしてくれる時のママは誰より幸福そうだったからだ。そして、俺もいつかそんな女の子と出会えるかもしれないと思った。

「君のママは、まさしくそのお姫様だった。僕にとって」

お父さんにその話をすると、決まってそう言って幸せそうに笑った。そして、そういう人には会えばわかるんだよ、とも言った。いつか、清佳にだってその時が訪れる。人生で最も幸福な瞬間が。(何故なら出会いとは奇跡でもあるのだから)

「イカレてる」

ちーちゃんは、そう言って吐き捨てたけれど。だけど、俺は、二人が幸福な王子様とお姫様だと信じていたし、今でもまだそう信じたがっている。

少なくとも、「人生で最も幸せな瞬間」とやらは、俺にはちゃんと訪れたのだから。


***


「今日は冷えるねぇ」

そう言った羽衣子ちゃんは、ブラウスに薄手のカーディガンという、確かに寒そうな格好をしていた。昼間は温かかったから、きっとそれでいいと思ったに違いない。

「三木くんは、あったかそうだね」
「家訓なんだ。『寒い日には寒そうな格好はしない』」
「ふぅん…まぁ、それはそうだね。見た目が寒そうだと、それだけで寒く感じるものね」
「でしょう?あたたかさは幸せの証だから」

そう答えた俺は、少し厚めのジャケットに首には黒のショールを巻き付けていた。薄いカシミヤのものだ。ちーちゃんのを勝手に拝借してきた。あの人は防寒具をやたら持っているので一つくらい借りたって問題無い。

「今日はあんまり星が見えないね」
「あぁ、少し雲がかかっているから」

羽衣子ちゃんが少し上を向いて歩くので、俺も倣ってそうして見上げてみた。今夜は澄んだ秋空、というわけではないようだ。月ですら、時々その光が遮られる。
夜空を見上げる羽衣子ちゃんの横顔は、かわいいというよりもいっそ神々しかった。こどもではないのに、あどけなくて、だけどちゃんと女の子の表情で、それはまるで奇跡的だと思う。一般的な基準に照らし合わせれば特別美しくも派手でもない女の子を見て、こんな風に思う俺は大分おかしいのだとは思うけれど。

「三木くんはどうして今のサークルに入ったの?やっぱり星が好きだったの?」

これは、出会ってすぐにもされた質問だ。何かと言うと羽衣子ちゃんは、俺が星が好きかどうかを確認したいらしい。
空気がつめたい。でも、それが心地よい。頭の中の隅々まで、きれいになるような感覚。

「好きだよ。少なくとも昼間の空よりは。でも、だから入ったってわけじゃないけど」

ふぅん、と、羽衣子ちゃんはわかったようなわからないような返事をした。

「それにしても寒いね」

また、同じような言葉の繰り返し。彼女は沈黙が苦手なのだ。俺はちっとも構わないので、羽衣子ちゃんが何故いつも困ったように似たような言葉を繰り返すのか、ちょっと不思議だ。

「じゃあ、これ、貸してあげるよ」

俺は、巻いていたショールを取って、了承を得る前に羽衣子ちゃんの首に巻き付けた。えっ、とか、うわっ、とか言ってる間に、彼女の首には黒のショールが収まる。紺地にアーガイル柄のカーディガンを着て、まるで女子高生みたいな羽衣子ちゃんの首に。

「女子高生と歩いてるみたい」

だから、そのままそう言ったら、

「…そりゃあ、私は子供っぽいから」

と、少し落ち込み、それから、「女子高生と歩いたことなんてあるの?」と訊かれてしまった。さすがにそれはない。どちらかと言えば年上が多かったし。大体、ジョシコウセイなんて色々と面倒だ。
けれど、それを丸々正直に話す程俺はバカではないので、「どうだろう」とごまかすに留めるのだった。

「わざわざ送ってもらってありがとう」
「いいよ、だって駅までだし」

改札口の前で、羽衣子ちゃんと向き合う。彼女は実家通いなのでここからまだ電車に乗るのだ。
薄明るい駅の電灯の下で、彼女の頬は余計に白く見えた。
本当は、家の前までだって送っていきたいくらいだけれど、今はまだそれは早い、というのはわかっていた。
今はまだ、駅まで。ショールを貸してあげるところまで。ぎりぎり手を繋ぐところまで。

こういう手順を踏むのはむしろ面倒だと思っていたし、今までまともに守った事がないけれど、今回ばかりは慎重だった。何故ならば相手は羽衣子ちゃんで、これはきっと「真実の愛と幸福」なのだと思ったから。

「あ、ショール…」
「いいよ、して帰って。今度返してくれればいいから」

手を振って別れる。ショールのない首元は案の定すうすうした。…帰って、ちーちゃんにバレたらきっと怒られるだろう。ショールを無断で貸した事ではなく、この寒空の下、首元を晒しているという件について。
だけど、この冷たさは俺にとっては心地よかった。少し前なら信じられない。羽衣子ちゃんに出会う前の俺なら。ちーちゃんは今でも信じられないと眉を顰めるだろう。




帰り道、月が見え隠れする道を歩きながら、電車に乗った羽衣子ちゃんの事を考えた。あの黒いショールを首に巻いた、女子高生みたいな羽衣子ちゃんを。






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