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お返事と妄想自堕落日記
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おわぁ疲れた…8月はそれ程忙しいはずでなかったのに、何だか急にわたわた忙しくなりましたよ。
ちょっと、目が冴えてきたので前回のゆるふわくんの続きでも。

しかし、こういう男は乙女ゲクラスタの皆さまには嫌われそうな感じがばりばりします。見事なダメ男になってしまった…どうしてこうなったんだ…。

そして、こういうのをちょいちょいと焼き直しというか、頭の中でリメイクしてときめも創作に書きなおせばいいじゃないかと思うのですが、そう出来ない不器用さ。

明日は雨が降るらしいですよ。






○三木くん(ゆるふわ)
○羽衣子ちゃん(世話焼きちゃん)



***


出会いはサークルの飲み会だった。新歓コンパってやつ。あの子は入ったばかりだったのに、もう既に皆の注文だの、コップの空き具合だのを気にしてあくせく立ち回っていた。決して喜んでしているわけではないのに、よく動いていることに感心したのを憶えてる。あとは、名前がかわいい。「ういこちゃん」という響きを、俺はいっぺんに気に入った。

けれども、それだけならここまで彼女に執着することもなかったろうと思う。それくらい、彼女との会話は俺にとっては鮮烈だった。…大抵の女の子は、俺の事を丸々肯定することばかり言ってたし、俺はそれに慣れ切っていた。何かにつけて「かっこいい」とか「かわいい」とか「絵になる」とか…、何だかそのような、ほとんど意味もないような言葉で誉められることを、ほぼ当然の賛辞として受け取っていたのだ。
羽衣子ちゃんは違った。喫煙者である俺に、あろうことか「煙草は体に悪いんだよ」と正面切って言ったのだ。今まで、親以外にそんな事を言った子はいない。女の子なら尚更だ。
しかも彼女は、本当に、ただの親切心から、と言った感じで言ったのだった。煙草は体に悪い事を、俺が知らないから教えてあげたのだという風に。

それ以来、俺は羽衣子ちゃんのことを、名前だけでなく、その存在にも心を掴まれることとなった。
手が空けば煙草を持ってしまう事に、多少の罪悪感を覚えるくらいには。


***


「ねぇ、ミキくん。話聞いてる?」
「うん」

甘ったるい、耳に残る声。胸やけしそうな。
けれども、甘ったるいのは彼女(たち)ではなく、俺の方かもしれない。まるで砂糖菓子に群がる蟻みたいに寄ってくるんだから。

「だからぁ。こんど新しくやってる映画見に行きたくない?超面白そうなんだよ?」
「ふぅん、そうなんだ」

行きたくないかと問われれば正直ちっとも行きたくないのだが、そんな事言うほど、バカでも意地悪でもない。
俺はこういう、なんかちょっと頭のネジが緩んでそうな話し方をする女の子をそれなりにかわいいと思っていたし、お陰さまでそれなりに良い思いもしてきているのであまり邪険に扱うつもりはない。まぁ、女の子っていうのはそれだけで大体可愛らしい存在なんだ。風に揺れても崩れない巻髪とか、誰も彼も同じような顔に見えるメイクとか、キラキラに磨き抜かれてネイルアートが施された、箸も持てなさそうな指とか。全てが可愛く、少しバカみたいで、相当涙ぐましい。

「ね、今度の週末とか空いてる?行こうよぉ」
「いいよ。たぶん空いてる…」

(…あ)

返事をしながら、視界にふと入った姿を目で追う。せかせかと、何か走ってるみたいに歩くちっちゃい子。
羽衣子ちゃんだ、と思うと、霧がかかっていたみたいな頭の中がさぁっと冴え渡っていくのがわかる。それにしても、何だってあの子はあんな、いつも急いでるみたいにして歩くんだろう。…かわいいったらないんだけど。

「ミキくん?何笑ってるの?」
「何でもない」

俺が羽衣子ちゃんのことに執着しているのは、まだ誰にも秘密だ。羽衣子ちゃんにも。
始業開始のベルがあちこちから聞こえてくる。それを区切りにその場から立ち上がった。

「何処行くの?」
「どこって授業行かなくちゃ」
「え!?ミキくん、授業行くの!?」

俺の履修態度の不真面目さは、かなり有名みたいだ。驚いている女の子に向かって、俺はにこやかに手を振った。

「そうだよ。だってちゃんと出なくちゃ、卒業出来ないもの」

いつだったか、羽衣子ちゃんに言われた言葉をそっくりそのまま言って、そこから離れる。…ここまで付き合ったなら文句を言われることもないだろう。


***


「羽衣子ちゃん」

少し遅れて大教室に後ろから入り、熱心にノートを取る羽衣子ちゃんの肩を叩く。彼女は振り向くと、ぎょっとしたような顔をして俺を見上げた。そのびっくり顔に満足して、俺はさっさと彼女の隣に座る。

「み、三木くん、来たんだ…」
「うん、来たよ」
「じゃあ、自分でノート…取る感じではないね…」
「だって、羽衣子ちゃんのノートの方が綺麗だし、わかりやすい」

これは本当のことだ。ひょんなことから、彼女は俺の代わりにノートを取ってくれたり代返してくれたりと色々世話を焼いてくれている。俺はそれが嬉しいので、益々授業に出ないし、ノートも取らないのだった。

「でも、授業に出るだけでも進歩か…」
「そうでしょ?俺、エラいよね?」
「うーん…エラい?のかな?」
「それとね、もう一つ今日はがんばっててさ。何だと思う?」
「さぁ…?何?」
「はい、ヒント」
「え…わわっ」

ぐい、と、羽衣子ちゃんに近付くと、その分仰け反られてしまった。けれど、ふわりと、シャンプーみたいな香りが鼻をくすぐる。

「急に近付いたらびっくりするよ…!」
「じゃあ今度からはちゃんと傍にいってもいい?って聞いてからにする」
「そ、そういう意味じゃないんだけど…」

困り顔の羽衣子ちゃんは本当にかわいい。ごめんね、もうイジワル言わないから(特別イジワルしてるつもりはないんだけど)って抱きしめたくなるのと、もっと困らせてみたくなるという二つの感情が同時に発生するので胸が苦しい。

「…でも、答えはわかったよ」
「…ほんと?」
「うん。三木くん、今日煙草吸ってないんだね」
「…正解!」

こそこそと小声でのやり取りがくすぐったい。思ったより、授業に出るのは楽しいのかもしれない。

「じゃあ、ごほうびあげる」
「…ごほうび?」

彼女がにこりと笑ってそう言ったから、俺は柄にもなくちょっと緊張してしまった。まさか、彼女からそんな風に言われるだなんて思ってもなかったから。
ちらりと、さっきまでしていた会話を思い出す。映画とか。一緒に行けたらいいのに。羽衣子ちゃんと行くなら、ホラーでも任侠ものでもアニメでも何でも2時間たっぷり楽しめるよ俺は。
けれども、そんなのはもちろん都合のよい幻想で、現実は、彼女の手の平に乗ったちっちゃな飴の入っている包みだった。デザインのビタミンカラーが妙に虚しさを誘う。

「…なぁんだ」
「あ、ごめん。三木くん、レモン味きらい?」
「うん。他の味がいい」
「えーっと…どんなの?イチゴとか?あとはアップルと、パインと、グレープ」
「やっぱりレモンにする」
「えー」

これは、ささやかな抵抗だ。羽衣子ちゃんからは、せめて甘ったるいものを受け取りたいという俺の願望。
だけど、俺は甘い物があんまり得意でないので、結局は何味でも構わないじゃないかというところに落ち着いたわけだ。

「…それ食べて静かにしててね?」
「静かにしてたらごほうびくれる?」
「授業中静かにするのは当たり前なの!」
「はぁい」

包みを破って飴を口に放りこむ。ころころと口の中を転がる飴は、甘酸っぱいはずなのに、何故か甘ったるい。…やっぱり、何味でもよかったみたいだ。




キャンディ一つで満足してしまった俺は、今週末の映画の約束のことはすっかり忘れてしまっていた。




**********
何がなんやらですが、とにかく三木くんはういちゃんのこと凄く好きなんだよという話し。
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