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お返事と妄想自堕落日記
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ついカッとなってやった。






「……暇アル」

手にした傘をくるくる回しながら、神楽はぶらぶらと歌舞伎町を歩く。今日のような天気の良い日は、傘が手放せない。

「…おまけに、眠いアル」

ふあぁ、と出てくる欠伸をかみころすと、目尻に水分が溜まるのがわかる。
先日、「眠れない」と言い銀時の部屋に転がり込んだ一件から万事屋ではロクに昼寝もできない。今日も酢昆布食べながらゴロゴロしてたら「晩飯まで外出て来い!子供は風の子、外で遊んで来なさい!」と銀時に追い出された。今日の夕飯は新八が作ってくれるらしい。それは結構楽しみだ。
今日は暖かい。平日昼間の公園は人がまばらだった。

「およ?」

傘の向こうに見える人影。見るからに柄が悪そうな背中に神楽はパチリと瞬きした。





「オイ税金泥棒」
「あ?」

いつもにはなく少し低いところから高い声が聞こえる。それもこの台詞。こんな事を言うのはあのクソガキしかいない。
盛大に眉を顰めながら、土方十四郎は声のする方を振り返る。

「誰が税金泥棒だ。つまらねぇ事言うとしょっぴくぞ、テメェ」
「オマエだよ。税金泥棒でマヨラーでヲタクで変態ネ。トッシーネ」
「マヨラー関係ねーし、変態じゃねぇぇぇ!百歩譲ってヲタクであっても断じて変態じゃねぇからな!」

全く、面倒な奴に捕まったもんだと土方は持っていた新しい煙草に火を付ける。春の陽気は暑いくらいだ。桃色の髪と白い肌の子供は傘をさして陽を避けていた。そういや夜兎族は日の光が苦手だったか。

「マヨラー、酢昆布おくれヨ。私お腹空いたネ」
「知るか。こちとら仕事中なんだよ。ガキはその辺で缶蹴りでもして遊んでな」
「オイふざけんなヨ!缶蹴りはなぁ、コドモの遊びなんかじゃねぇんだよコノヤロー!」
「うるっせぇよ!仕事中だっつってんだろが!お前の相手してるほどヒマじゃねぇんだ、あっち行け!」

苛々と追い払うものの、小娘は少しも臆することはない。さすがに戦闘能力の上で劣る人間に何を言われても堪えないと言ったところか。それとも単に頭が回らないだけなのか。恐らく後者なのだろう、こいつがバカなのは知りたくもないが良く良く思い知らされた事実だ。
…どちらにしても、土方にとっては関わりたくない事にかわりはない。おまけに何度も言っているが今は仕事中で巡回中だ…一緒に行動するはずだった沖田は知らぬ間にどこかへ行ってしまい、故にここで一服していたわけだが。

「んだよー、どうせヒマなんだろーが。だから税金泥棒だって銀ちゃん言ってたヨ」
「おめぇらみたいにその日暮らしな暇人に言われたかねんだよ。いいから、どっか行って遊んで来い。酢昆布の代わりにマヨネーズやるから」
「いらねぇヨ。そんなズルズルした黄色いモノなんて私には必要ナイネ。代わりに小遣いもらってやるよ、くれ」
「金たかってんじゃねぇぇ!何だ、俺は絡まれてるのか!?どんな回りくどいカツアゲだ!」
「カツアゲじゃなくてカツ丼がいいネ。美味いトコ知ってるヨ、行くか!」
「いや全然うまくないからね!なんか無理やりそれならいいか的な雰囲気になりかけたけども!騙されないからね、俺は!」
「…けっ、シケテンナァ。けちくさいオトコアル…ふぁ」

言葉の途中に間の抜けた欠伸が混じる。なんだ?と改めて見れば、彼女は眠そうに目のあたりをごしごしと擦っていた。

「…やっぱり眠いヨ。もう昼寝の時間ネ」
「…昼寝とは大層な御身分なこった。まぁいい、そんなら家に帰って寝ろ。今すぐ帰れ」
「無理ヨ。帰るまでもたないネ。…ちょっと膝貸せよマヨラー」
「はぁ?何で俺が。寝事は寝てから言えよクソガキが」
「ジョーダンじゃないヨ。だって銀ちゃんは眠れない時一緒に寝てくれたヨ。お布団代わってくれたしごはんも炊いてくれたネ」

眠れなくて何故飯を炊くんだとちらりと疑問に思ったが、そこは大した問題じゃない。土方は元々目つきの悪い目を更に細める。
一緒に寝てくれた?何してんだ、あの白髪野郎。ロリコンか。

「よいしょっと。じゃあおやすみなさいヨ~」
「ちょ、コラ待て!何勝手に…!」
「それから、私、日に弱いから傘持ってろよ。…でなきゃぶっ殺すからなマヨラー」

凶悪な脅し文句を残して、子供はさっさと自分の膝を枕にして寝てしまう。このまま投げ落としてやってもいいところだが何となくタイミングを逃してしまった。…こんなすぐにすやすやと寝てしまうとはどんな寝つきの良さだ。それとも子供とはそういうものなのだろうか、よくわからない。

仕方がないので空いている方の手で傘を持ち、彼女に日影を作ってやる。どうしてこんな事をしなければならないのか。土方は苛々と煙草をふかす事しか出来ない。いや、これじゃあ煙草を吸う事にもいちいち気を遣ってしまう。子供が寝ている横で、有害な灰やら煙やらを撒き散らすのは大人としてはあまり誉められたことではないだろう。

(…冗談じゃねぇ)

規則正しい、健やかな呼吸を繰り返す少女を、土方はちらりと見下ろす。微笑みすら浮かべて彼女は眠っていた。まったく忌々しい。叩き起してやりたいところだが、どうしてかそれが出来ない。
小さな頭はそれなりに重みがあり、寄りかかる体温は少し高めに感じた。その無防備すぎるありように、土方は手が出せない。…やましい気持ちなど、あるわけはないが。
そもそも、こんな子供と関わることなど今までどれだけあったろう。その昔は総悟がこれくらいのガキだったが、あいつは子供の皮をかぶった悪魔だったために、こんな和やかな時間をお互いに持つ事はなかった。
こんなガキと一つ屋根の下で暮らすなんて、やっぱりあの天然パーマはどうかしている。こんな、どう接していいかわからないもの、自分はゴメンだ。
今だって、どうして触れていいものかわからない。顔にかかる髪を避けてやっていいものかどうか、それすらわからない。



一体、どれほどの時間が経ったのか。
結局、土方は神楽を起こす事も出来ず、そのまま「枕」になってやっていた。影が長くなり、光には夕方特有の橙が混じる。俺は一体何してんだ、と、ため息も出ない。これくらいで参るようなヤワな鍛え方はしていないが、さすがにずっとこの体勢は少々辛いものがあった。いい加減起きてもらわなければ困る。結局今日は丸一日仕事をさぼってしまった。

ふ、と自分の上に影がかかる。気付いて見上げると、ふわふわと、だらしがない銀色の髪が目に入った。

「オイオイ、何ですか?オマワリさんが仕事サボって堂々と幼女を囲ってオイタですか?いや、世の中終わりだわ。そりゃガキも減ってジジババばっかになるわけだわ。みんなネットばっか見てテレビ見なくてどこもかしこも大幅コストカットのリストラになるわけだわ」
「おかしな事言ってんじゃねぇ。コイツが勝手にここで寝てんだよ。てめぇの監督不行き届きの結果だろうが。俺を嗤う前に自分を恥じろ、ボケが」
「あーやだねー。これだから言い訳ばっかウマいお役人サマは。自分のした事棚に上げて庶民の生活に口出して。ハイ、ワンプレイ5000円デース。ちゃんと金払えよ、変態ロリコン野郎」
「誰が払うか!つうか、金取ってんじゃねぇよ、何考えてんだ!」

銀髪男はぼりぼりと頭を掻きながら「ジョーダンだよ、ジョーダン」と面倒臭そうに言葉を投げながら眠っている少女の額をぺちりと叩く。それを見て、ああそうか、そういう風に触れば良かったのかと今さらながら気付いた。
なんだ、ひどくカンタンな事だったんじゃないか。

「お~い神楽ちゃ~ん?起きなさ~い?」
「んん~ムリヨ…私、もう食べれないヨ…卵かけゴハン…」
「オマエは、夢の中でまでビンボーくさいモン食ってんな。…おら、新八メシ作って待ってんだ。帰るぞ」
「……はっ!新八のゴハン!!」

ガバリと起き上がる少女は土方の事など振り返りもせずに立ち上がる。無くなる重み、ひやりとする空気。
ようやっと解放されたと息を吐くと、ポンとさっきまで少女の頭のあった膝の上に何かが投げてよこされる。
小さな、濃い緑と赤で縁取りされた長方形の箱。

「んだこれ…」
「やるヨ。ワンプレイ酢昆布一箱ネ」
「…プレイ言うな」
「じゃあなーマヨラー。また遊んでやるヨ」
「だから何か変な風に言うな!」

薄暗くなった夕方に、彼女は傘をたたんで、ブラブラと歩く白髪頭の男に付いて歩いていった。ぴょこぴょこと、跳ねるように。

「ったく、こんなモンで誤魔化しやがって…」

箱を開けて、一枚昆布を摘まみあげる。そうして煙草の代わりに口に放り込んだ。すっぱい。
今日はおかしな一日だった。けどまぁ、それほど悪くもない。
俺も帰るか、と、立ち上がる。やっぱり、少し体が痛かった。そして、その痛みに何故か軽く笑えた。








「ったくよぉ、神楽。お前ね、こんな時間まで寝てたらまた夜寝れなくなるんだろうが。ちっとは学習しろ。それからヨソの男の膝枕で寝るとは何事ですか。そんなふしだらなコに育てた覚えはないよ、銀さんは。オトコは皆ケダモノだって、脇が酸っぱくなるほど言ってんだろーが」
「銀ちゃんだって、ヨソの女の膝枕で寝てるだろーが。下半身ふしだらだろーが。そんなオトコに育てた覚えないヨ。不潔ネ」
「いいんですぅ~、銀さんはもうオトナだから。人生泥水啜って生きてきたオトナだから」
「まったく、ナニ啜ってるかわかったモンじゃないネ。ヘンなビョーキもらってくんなヨ、天然パーマ」
「ちょっと二人とも!ゴハン食べながら何て話してんの!」



今回の話の神楽がかわいかったので。そして単に土方さんを絡ませたかっただけです。別にカップリングとかじゃないですけど。羞恥プレイは覚悟の上です。かぐちゃんがかわいかったんだ!だから我慢出来なかったんだ!
土方さんは銀ちゃんほどは遠慮なく神楽を扱えないといいなと。一応頭の片隅に「子どもで、女で」というのを踏まえているといいなと。銀ちゃんにとって神楽は家族なのでそういう遠慮はない気がする。

それにしても銀魂二次は大変ですね。台詞が大変。何せ原作の台詞回しが神がかっているのでもう出来ません。
ちょ、ホント出来心なので、許して!(脱兎)
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