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お返事と妄想自堕落日記
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そんなわけで、ブログ救済トップバッターは赤城主。

赤城に「キミ、僕に何か恨みでもあるの?」と冷笑されそうな話。

恨みはないよ、むしろ愛だよ!



というわけで「つづき」から赤城主ばれんたいん。

赤城プレイルートネタバレの描写が含まれますのでお嫌な方はスルーしてください。

意外に長くなってしまった。





2月。最近お天気が悪いのか、今日もどんよりと曇っていて寒々しい。友達にバイバイと手を振って家路を急ぐ。早くあったかいお家に帰りたくて、つい早足になってしまう。

…早く家に帰りたいのは、寒いだけが理由じゃないけど。

(…あ)

歩きながら、そういえば明日はバレンタインデーだと思いだす。はるひちゃんが、そんな事を言っていた気がする。
私には関係ない。だって、チョコレートを渡したい男の子なんていないもの。

ぴたり、と足が止まる。うそつき、と、もう一人の私が言う。最近の私は体と心がバラバラになったみたいで何だか少しおかしい。もうすぐ受験だから、そんなの困るのに。
とても淋しいのに空元気で笑ったり、全然かなしくないのに突然泣きたくなったり。

(ちょっと、のぞくだけだよ)

誰も聞いていないのに、そんな言い訳を繰り返して、私はまた歩き始める。

公園通りにいくつもあるお菓子屋さんは、どこもチョコレートがたくさんあって盛況だった。チョコレートもたくさんあるし、女の子もたくさんいる。私たちみたいな学生や、もう少し大人の女の人まで色々だ。

形も味も値段も色々あるチョコレートを見て回る。中には男の子に渡すには随分かわいらしいものもあったりして、そして、そうしてチョコレートを物色するのは思ったよりは全然楽しかった。お店の中の軽やかなBGMや、たくさんのチョコレートの甘い香りは、渡す相手がいなくても気持ちが弾んでくるような気がした。

(あ、これカワイイ。自分用に買おうかな?)

ピンク色に包装されたウサギの形のチョコレートを手に取った途端、「そんなのダメだよぉ」と甲高い声が聞こえてきて、思わずびくりと反応してしまう。

「そうかなぁ?案外ウケそうな気、しない?」
「だめだめ!子供っぽいって言うよ、ゼッタイ!」

もっとオトナっぽいのにしなって!横にいた女子高生二人の会話に、それまでの楽しい気分は一瞬にして吹き飛んでしまった。「そんなのダメ」と言ったのは、もちろん私にじゃない。それでも、私は手にしていたチョコレートを無理やり棚に押しこんで、そのまま店の外に飛び出した。もう一秒だって、そこにはいられないと思った。

(さむい)

勢いで走ろうとしたら、靴がすべってこけそうになる。何とか踏みとどまって素知らぬ顔をして歩いたけれど、情けない気持ちは倍増だった。暗澹となる気持ちを誤魔化すために、必死に、ただひたすら歩いた。
頬にあたる風がつめたくて、いたい。

(バカみたい)

用も無いのに、渡す相手もいないのに、チョコレートを見に行くなんて。「もし会って渡せたら」なんて想像してしまうなんて。
尚、悪いのは、隣にいた子達ははばたき学園の子だったことだ。あの時、あの人の、赤城くんの後ろにいた女の子が着ていたのと同じ制服だった。

「…ばかみたい」

もう遅いのに。もう終わってしまったことなのに。
私はいつになったら、赤城くんとの事をきちんと思い出にできるんだろう。

「…ぃたい」

息が上がるほどの速さで歩きながら、目の前が熱くなってゆらゆらと揺れた。頬を伝うと、風に冷やされてまるで薄荷飴みたいにすぅすぅする。

涙が出るのは、目にゴミが入って痛いせいだと、拭いもせずにただ歩いた。



*******


ハッピーバレンタイン!とクラスの女子から渡されたのは、シックなデザインの箱に入ったチョコレートだった。

「…なんか、高そうだね」
「お返しは、卒業してからも受け付けてるからね~!」

なるほどね、と、ため息をつきながらも、一応お礼は言った。これくらい、目的が明け透けな方が、むしろこちらも気楽だというものだ。きゃらきゃら笑いながら離れていくクラスメイトに手を振って、一雪は手の中の小さな箱をもう一度見る。

(…バレンタインね)

箱もチョコレート色をしている小箱をカバンに押し込みつつ、あの子ならどういうチョコレートを選ぶのかなと、ふと考えた。あんなに傷つけたのに、思い出すのは笑顔だなんて、自分は本当に現金な性格をしている。

きっと、もっとかわいいのを選ぶんだろうな。それとも手作りだろうか。ちょっと失敗するかもしれない、大事なチケットを落としちゃうくらいのぼんやりさんだから。

(誰に渡すんだろう)

ちくりと、胸が痛む。一生懸命選んだ、あるいは手作りしたチョコレートを、彼女は誰に渡すのだろう。あの、ふわふわした笑顔で、それとも、緊張したりするんだろうか。想いが伝わるようにと胸をドキドキさせて渡すんだろうか。
…僕以外の男に。

(……今更)

わざと大きく息を吐いて、囚われかけた想いを振り払う。
こんな惨めな話はない。惨めというよりも、自分勝手だ。散々傷つけて、終わりにしてしまったのは自分のせいなのに。自分が終わらせておいて、勝手に嫉妬するなんて、何て情けないんだろう。

(それでも)

今でも、時々思うんだ。会いに行ったら、もしかしたら君はまた笑ってくれるんじゃないかって。
僕がすごく君に会いたいのと同じように、君も僕に会いたいと思ってくれてるんじゃないかって。

「…バカか、僕は」



まだ僕は君の事が好きなんだと言ったら、君はわらうだろうか。
 





バカは私だ。
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